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啓輔×良充(幼馴染・単発)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「こんばんはー。啓輔~、行こかー」

 日付けと共に年も変わってすぐ、良充が啓輔の家にやってきた。

「おー行こか」

 啓輔がこたつから立ち上がって玄関に向かう。

 玄関口に立つ良充は防寒対策がきっちり過ぎるほどに施されていた。


 冬のコンビニ。ドアを開けた途端店内に漂う香りがダイレクトに鼻に来る。

 漫画雑誌の発売日と塾が重なる水曜日、二人はいつも一緒に塾帰りこのコンビニに立ち寄る。

「……なんや、コレ」

 良充は啓輔の首に巻かれた長いモノの端を軽く引っ張って訊ねた。

「なんや、ってマフラーに決まってるやん」

 分かりきった問いを向ける良充に啓輔は訝しげに首を傾けて答える。

「なあなあ、啓輔、『あぶりだし』って知ってる?」
「……聞いた事はあるけど?」
「昨日なあ、図書室で『子供百科事典』見てたらさあ、そんな遊びの事が書いてあってさあ、オモロそやな、と思て。今、おかんにレモン汁絞ってもうてるから、やろ?」

 お外大好きの良充が珍しく「今日は俺んち来いやあ」と、含ませ笑いで言うから、何をさせられるかと思ったら。「あぶりだし」とは。
「え~っ、月見団子って……みたらしぃ~?」

 良充が不満そうに口を尖らせて啓輔が手にしているみたらしだんごのパックを見下ろした。

「お……おかんが買ってきたんがこれやってんからしゃあないやろ」

 内心汗だくだくで啓輔がしどろもどろに答える。

(これはマズいな……)

 啓輔はすべすべとした感触をもろに感じて困った顔をして赤面した。

 啓輔の手が触れているのは、足。良充の、ナマ足。何てったって今日はぴーかん天気の青空のもとの体育祭。そして種目はやっぱり「騎馬戦」だった。
「やぁーっと来たでぇ! うみ~~!!」

 良充はぱぱぱっとTシャツと短パンを脱ぎ捨てた。中に水着を着ていた良充は、あっという間に泳げる態勢になった。

 中三の二人は、塾の夏期講習のため、夏休みに入っても、今まで海には来ることができなかった。やっと終わった夏期講習。懐かしい海の匂いに開放感もひとしおだ。
 毎年この日は必ず予定を空けておく。

 早めに夕食を済ませて啓輔の家へやってきた良充は、「おばちゃんこんばんは~、啓輔部屋やんな~」と玄関に迎えに出た啓輔の母親に挨拶し、通い慣れた啓輔の部屋へと続く階段を上った。
「おーい啓輔ぇ、コッチコッチ~」

 電話で「一緒にスイカ食お~」と呼び出されて玄関前に立った啓輔の気配をいち早く察知して良充が呼び寄せる。 啓輔が声のする庭の方を覗き込むとランニングに短パンという典型的な格好の良充が縁側に座って元気に手を振っていた。

「なあ~、啓輔ぇ、席代わってえや~」
「……いやじゃ」
「ケチぃ~」

 二学期入って最初の席替え。良充はまん真ん中の一番前の席を引き当てた。ちなみに啓輔は良充の隣の列の前から三番目。

「こら、枦(はぜ)~、いっぺん決まったモンは変更きかんぞ~」

 啓輔に座席のスイッチを頼み込む良充の声を聞きつけて、担任の山中がすかさず釘をさした。

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