2ntブログ

2007年09月

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 直登は要の肩に手を突いてがばっと要から上体を離した。

「先生、あの男とヤったことあるでしょ」
「え? ええと……」

 突然の問いに、要は一瞬拍子抜けしたような表情を見せる。少し考え、思い当たる節があるのか、ぎく、と顔を強張らせた。

「ちょ、痛いって」

 腕を引っ張られ連れてこられたのはデパートから一番近いシティホテルの一室だった。

「さっきから黙ったままこんな所まで連れてきて、何のつもりだよ」

 部屋に入ってやっと離された腕をさすりながら要は直登を睨み付けた。

「せんせ、さっきの名刺、出して」
「え?」
「さっきのデパートの男の名刺」

 一体何なんだ、と言いたげに、けれども直登の迫力に負けたらしく要は唇を尖らせながらもポケットから先程受け取った名刺を取り出し直登に渡した。

「あれえ、吉塚じゃん」

 直登と要は第一の目的だったワイングラスの購入を無事終え、「ワイシャツを買いたい」という要の希望で、百貨店の五階メンズウェア売り場に立ち寄った。ブランド別・素材別・サイズ別にずらりと並べられたシャツの陳列棚の前で、すぐにでも部屋に戻りたくてウズウズしている直登を尻目に、要はあれこれ手に取り、のんびりと品定めをしているところだった。

「あ、ちょ……怖……」 

「だーいジョーブだから。んな力(りき)んでたら入るモンも入んねぇよ」

「え~っ、月見団子って……みたらしぃ~?」

 良充が不満そうに口を尖らせて啓輔が手にしているみたらしだんごのパックを見下ろした。

「お……おかんが買ってきたんがこれやってんからしゃあないやろ」

 内心汗だくだくで啓輔がしどろもどろに答える。

「ぷはーっ。今回はまた一段と泡が出たね」

 やっとビールの噴出を食い止めて、素手で飲みこぼしたビールを拭きながら呑気に浩太が言う。

 ――コンコン。

 圭吾の住むワンルームマンションの、駐車場に面した唯一の窓から小さくノックの音がする。一階にあるこの部屋の防犯とプライバシー保護のために施されたワイヤー入りの磨りガラスを開けると、自転車に跨ったままの浩太がに、っと笑って立っている。

※性描写アリです。18禁でお願いします。

「あっ……け……いちろ……」

 玲が健一郎の名前を呼ぶ。その声に今まで堪えてきたものを壊されたかのように、健一郎は荒っぽい手つきで背後から腕を回し、玲の肩を掴んで動きを封じた。

※性描写ばっかりです。18禁でお願いします。

「あ……」

 触れられる事への期待で玲の入り口がひくひくと震える。玲が零した液を掬って濡らした健一郎の指先がつぷり、と入ってきた。


※性描写ばっかりです。18禁でお願いします。

 金色の月明かりの元で、想いが通じ合って初めてのキスをした。

「……好きです」

 もう何度も聞いた言葉にやっと頷くことができた。

 眩しいくらいの月明かりを背に、健一郎がまだ少し遠慮がちに唇を寄せてくる。眩しさに目を細めながら、健一郎の唇を少しでも早く欲しくて、玲も自ら小さく唇を開いてそれに応えた。

「……山根さん、俺、会社辞めようかと思ってるんです」

 ぽつり。健一郎が呟いた。

「――え」

 途端、玲の目に痛いほど入り込んでいた光から色が奪われた。

 それからというもの、毎晩。何か理由をつけては、健一郎は玲の部屋を訪れる。

「実家から梨が送られてきたから」
「晩飯、作りすぎちゃって」
「DVDを借りてきました」
「パチンコに勝ちました」

 そう言っては手にしていたものを玲に渡す。

 そして言う。「好きです」と。

 その翌日は、幸い土曜で会社は休みだった。週明けを思うと、気分が重くなる。けれども酔いの所為ということにして忘れてやろう。玲は心に決めた。

 なのに、奴は来た。テレビで観ていた、洋画の一番いい所で。


※若干の性描写アリです。18禁でお願いします。

 仕事を終えて部屋に戻った玲(あきら)は、疲れた身体をどさっとソファに投げ出し、乱暴な手つきでネクタイを緩めた。

「今日はどうやって追い返そうか……」

 このあともう一仕事ある、と思うと、疲れが更に増す。

 原因は、同じ部署の後輩の佐紀健一郎。ここのところ、毎晩奴が玲の部屋を訪れてくるのだ。

「部長、キス……していいですか?」
「……ん…………?」

 ――ん? んん? んんん? 何だって……? 

「ツバキ、ひひひひ人がっ…………んっ」

 慌てふためいて閉じた目をぱち、と開くも回る視界、三垣の小さな抗い空しく掠め取るように村椿に唇を奪われた。

「おいツバキっ! 待てっ!」

 三垣が店を出てそう叫んだと同時に、村椿を乗せたエレベーターの扉が閉まった。合コン会場はビルの五階。動き出したエレベーターの位置を示すランプが次第に下へと降りてゆく。ちっと舌打ちをして三垣はエレベーター横の階段を駆け下りた。


 志水が明るく立ち上がって何やら妙なパフォーマンスをしている。

 ――そういえばあれ、以前俺が教えた芸だったっけか。

 そんなことを考えながら三垣は他人事のように肘をつき楽しげな合コン風景を眺める。いったい何時の間に合コンがこんなにつまらないものに感じるようになってしまったのか。

「綾峰高校新聞部でーっす。おねーさまがたに向かって右から部長の三垣、俺、志水、隣が高見、最後が我が部のホープ、ツバキちゃんコト村椿一(はじめ)クンでーす」

 化粧の匂いがここまで届いてきそうな派手な四人の女性を前に、副部長の志水が明るく三垣たち四人を紹介した。

 ――っておい、なんでツバキがここにいんだよっ?!


(これはマズいな……)

 啓輔はすべすべとした感触をもろに感じて困った顔をして赤面した。

 啓輔の手が触れているのは、足。良充の、ナマ足。何てったって今日はぴーかん天気の青空のもとの体育祭。そして種目はやっぱり「騎馬戦」だった。
「……!直登、俺……?」
「せんせ、スッゲ可愛かったよ。俺の耳噛んだり、泣いちゃったり」
「……そう、なのか……? マジで?」
「ホント」

「せんせ、家着いたよ。鍵、出して」
「ん? んん」
「かーぎ」

 ポケットをごそごそと探って出てきた鍵を要は自らおぼつかない手つきで鍵穴に差し込んだ。がちゃがちゃと音を立てるも、酔いのせいでなかなか上手くいかない。その間も要の体重を支える直登の視界で、うっすら紅く染まった要の耳がゆらゆら揺れる。
「んも~お! 俺が全っ部払うったら払うンだよ! 直登、学生のくせに生意気あんだぉっ。学生は大人しく奢られてたらいいっつーの」

直登は急変した要に驚いたように目を瞬かせて目の前の酔っ払いを見た。
 暫くして、がら、と店の扉が開く音と共に女が一人、店内を伺うように入ってきた。座る二人を見つけ、ぱっと表情を明るくして向かってくる。

「こんばんはー」

 覗き込むように二人の間に割って入る。

「あ、嫁さんっす」
「いつも主人がお世話になってます」

 オンナ、だ。それ以上でもそれ以下でもない。

 ――今夜こそ、誘おう。何度も何度もシュミレートした。自室で声出して練習までした。声をうわずらせないよう気をつけて。なるべく自然に。そう、別に普通のコトだろ? 全然普通のコト。同じ部署の先輩が後輩を飲みに誘う、ただそれだけなんだから。


「他に用件は?」
「別に無い」

 智裕は呆れ顔で片眉を上げ、肩をすくめた。そして皓市に聞こえるように、ワザとらしくはあ、と一つ溜息をついてから諭すように皓市に言った。

「おまえのその根気良さ、他に生かせよ」

 皓市はしれっとして振り払われた手を所在なげに開いたり閉じたりしている。

「……ただいまー」

「あら、おかえり、智裕。いつもより遅かったじゃない? 皓市君、来てるわよ」

 予備校の夏期講習から戻った智裕に、母親が言った。

「部屋で待ってもらってるわよ。随分前からだから、謝っときなさいよ」

 ――部屋に皓市が……? 珍しいな。いつも呼びつけてばかりいるのに。……さてはまた何か企んでるな。

※性描写アリです。18禁でお願いします。

「まだ昨夜の俺が残ってるね、ここに……。ユウ、かわいい……」

 繁は雄大の体内に残る昨夜の名残を指で掻き回す。
※性描写アリです。18禁でお願いします。

「ユウ……」

 後ろから繁が抱き締めてきた。目を閉じると今度は雄大に飛び火したのか、溢れる思いが涙となって零れ出てきた。繁の手がそっと頬に触れ涙を拭う。自分の涙は拭かなかったのに、と泣き笑いしながらその手に自分の手を重ね、小さく唇を開きながら繁の方へと顔を向けた。そしてゆっくりと、そっと唇を重ねた。

「おい、繁?」

 覗きこむように見て雄大は驚いた。繁が一粒、また一粒と涙を落としていたのだ。

「お、お前、泣いてんの?! 何で? 普通こういう立場では泣くのはやられた俺の方なんじゃねぇの? それとも、俺とやった事、泣く程後悔してんの?」

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