2ntブログ

2008年10月

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 八月の終わりに、クラスの彼女のいない連中でツルんで地元の花火大会に出かけた。そこにはもちろん慎治と、村上もいた。慎治は別段行きたいとも思っていなかったのだが、村上の「行こうぜ」というその一言は、慎治を動かす十分過ぎる理由になった。

 村上に会ったのは久し振りだった。相変わらずの緩い笑顔はあの日、恋する相手と繋がりたいと泣いた村上の涙を、返って慎治に思い出させた。


※18禁的性描写アリです。よろすくおながいします。





 こっち来いよ、と村上の腕を掴んでベッドへと引き上げた。縁に座らせ、慎治も隣に座る。両肩を掴んで慎治の方を向かせ、顎に手を掛けた。

「キスは?」
「ん……いいよ」

 村上は小さく頷くと、慎治の両腕にそっと手を置いた。近付く慎治に応え、村上が少し顔に角度を付けて薄く唇を開く。ゆっくりと唇を重ねると、慎治は舌先でそっと村上の唇の裏を舐めた。

 村上は一度、小さな吐息を漏らして身体を震わせた。村上自らも舌を伸ばし、慎治の舌の裏をそっと舐める。舌先同士が触れ合うと、一気に体温が上昇した。


 慎治の通うN高校は、全国有数の進学校として毎年有名大学への合格者を多数輩出している。男子校であるこの学校で、慎治が自分と同じ性嗜好を持つ者を見つけるのは容易かった。同じクラスで見つけた村上に、お仲間とばかりに近付いてみたが、話してみれば穏やかな天然ともいえる彼に、慎治のどこか尖った心はいつも癒された。そしてどこか危なっかしい村上の世話を何かと焼く内、放っておけないという想いが恋心だと気付くまでに時間はそう掛からなかった。


 多分俺には最後の恋人。できる事なら、最期まで共にありたい。

 ――歩。

 愛してると、何度囁いてもきっと伝え切れない。

 その全てを命を賭しても守りたい。

 そんな相手に巡り逢えた事の奇跡に自分の運命を想う。今までの俺の人生は、この愛しい存在に出逢うためにあったのだと思える程に。






※性描写はじめますたw まずは15禁でおながいします。



 ラブホテルの一室。遠くに聡士が使うシャワーの音を聞きながら、自宅でシャワーを浴びてきた淳汰は一人先に裸になり、ベッドに俯せに寝転がった。

 組んだ腕に顔を乗せて聡士を待ち、聡士は何故自分を呼び出したんだろう、とぼんやり考えた。

「馬に蹴られるっつったら淳汰こそどうなんだよ。お前こそ相手に彼氏がいようといまいと、コレと思ったら口説くくせに落ちたらすぐポイじゃねぇかよ」

 言いたい事だけ言って、聡士はジョッキを口元に運んで傾けた。何度か大きく喉仏が上下して、だん、とテーブルにジョッキが置かれた時にはもうビールは半分近くにまで減っていた。

「そういう事ばっかやってっといつかマジで馬に蹴られんだよ」
「蹴られねぇよ馬は俺だから」
「は?」
「馬、つか馬並み? お前だって知ってるだろ?」
「あーあーあーあー」

 淳汰は目を瞑って、最後の台詞は聞かなかった事にして流した。


「どしたんだよ、これ?」

 山井淳汰(じゅんた)は目を大きく見開いて目の前の男に聞いた。

 所は居酒屋。テーブルに着くこの男――中野聡士が「ちょっと飲まねぇ?」と、そんな一言で淳汰を呼び出したのがちょうど三十分前。聡士から電話が掛かってきた午後六時、淳汰は十日振りの休みを満喫すべくレンタルしてきたDVD三本を、ちょうど見終えた所だった。


「この辺りで見るか」

 川縁の堤防で慎治さんが立ち止まったその途端、空が明るくなった。

「あ……」

 ほんの一瞬遅れてどーん、と身体に響く音。花火をこんな近くで見たのは初めてだった。その迫力に圧倒されてぽかんとしてたら、俺を見た慎治さんがまだまだ序の口だぞ、と笑った。


「……お前……」

 浴衣姿になった俺を、慎治さんが一歩下がってしげしげ眺めて、それから片手で口元を覆った。

「? なに?」
「ダメだ、なんか……一々トキメく」

 年かな、と苦笑して、頬を二度、擦ってから慎治さんはその手を下ろした。







 マンションのエントランスに着くと、エレベーターは上階に向けて上り始めたばかりだった。俺は迷わず階段をかけ上がった。

 元々は、慎治さんが一人で住んでたマンション。今は、俺もここに慎治さんと一緒に住んでる。

 息を切らせてドアに手を掛けると、ノブを引く前に内側からドアが開いた。

 風呂上がり。太一は濡れた髪を拭いながら自室に入った。ベッドに腰掛け、壁に掛かる時計を見上げる。午後十一時まであと少し。十一時は、恋人との電話の時間。その日会えなくて焦がれた気持ち一日分を、この数分、長くて十数分の会話で補い合う。

 それが決まりごとになってもうすぐ三ヶ月。ここのところ、木戸の帰りが遅い。


かなり以前にメンタルメンテのイチゴさんから
回してもらってたバトンすv
遅くなってもめんなさい(;´Д`)
大した回答も出せず重ね重ねもめんなさい(;´Д`)



 日付が変わって少しした頃、早悠が一人、立ち上がった。

「そろそろ帰るわね」
「――あ」

 悠が一緒に立ち上がろうとするのを、早悠はいいわよ、と笑って制した。


 アルバイトを終えて悠が歩のマンションを訪れたのは十一時過ぎだった。悠のために玄関の鍵を開けた慎治に案内されてリビングに入ると、リビングのソファには本当に出番を早めに終わらせたらしい悠の母が座っていた。三人がけの大きめのそのソファの隣には少し離れて歩が腰を下ろし、ローテーブルを囲む格好で学は床に座っていた。


 六時十五分前に悠がバックヤードに入ると、休憩中の倉本が机に突っ伏して眠っていた。起こさないようにそっと、悠は制服の白いシャツと黒いパンツに着替えた。ギャルソンエプロンを締めて、静かに部屋を出ようとした時、後ろから手首を掴まれた。

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