2ntブログ

2008年11月

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「淳汰」
「ん……」

 名を呼ばれて薄く目を開けようとすると、唇を塞がれた。

「ん……」

 ゆったりと与えられる唇を結局目を閉じたまま味わい、唇が去ってゆく気配とともに目を開けた。




※まったり肌色描写続きます(*´∀`) 18禁でおながいします。







「中身随分減ってんじゃねぇかよ」
「……最後に使ったのはかなり前だっつうの。……っ、ん」

 ローションの潤いが乗った手が、背後から淳汰の下着の中に滑り込んできた。その指先が双丘を割って後孔に触れると、聡士の体温で温められていても、慣れない水気の感触にひく、と淳汰の襞は収縮した。


「でもそれが、お前の事が好きだからそう思うんだってのは、さっき気付いたとこなんだよ。だから」

 許せよ淳汰、と耳元で囁いて、聡士の両腕が淳汰の背に回る。

 ――ヤバい。

 また鳴り始める、警鐘。



 淳汰の変化に気付いているのかいないのか、変わらず強い目線を淳汰に向けたまま、聡士は淳汰の頬にもう片方の手を置いた。

「お前じゃねぇと悦くねんだよ。だから他のヤツとは、ヤったって意味ねぇ」

 聡士の親指が、淳汰の頬骨をゆっくりとなぞる。

 淳汰の指先の動きに任せるように僅かに顎を上げ、聡士はただ黙って淳汰を見返していた。

 淳汰は言葉を続けた。

「俺がウケにしか見えねんなら、お前と長くは続かねぇだろーよ」

 聡士に求められるなら、挿れられても構わない。

 ――ただ、俺がタチだという事を、忘れないで欲しいだけだ。

 聡士、お前に分かるか、と視線で問う。

 聡士の言い分は、淳汰にも分かる気はする。確かに今までの自分は口説いている間が楽しくて、相手が落ちたら満足してその熱も冷めていたのかもしれない。淳汰に口説かれて落ちたものの、すぐ冷められては聡士のプライドが許さないだろう。だから聡士から口説く、と言うのだろう。

 聡士がふと吐いた小さな呼吸で、二人を取り巻く空気が変わったのを感じた。

 淳汰は落としていた視線を上げた。

 その視線の先に、僅かに口角を上げた聡士の、いつもの何をも恐れないような表情を捕らえる。

 淳汰の言葉を聞いても、聡士は動かなかった。

 驚いた様子も、嫌悪の様子もなく。かと言って、嬉しそうにも見えない。ただじっと、淳汰を見返した。

 聡士から何も、――言葉も、態度でさえも、何も返ってこない事に焦れて淳汰は、言葉を続けた。

 程なく玄関の安っぽいチャイムの音が部屋に響いた。淳汰は跳ねる心臓を押さえ付けるように小さく深呼吸をして立ち上がった。

 ドアを開けるとスーツ姿の聡士が、ドアの向こうにいた時から淳汰を見据えていたかのように微動だにせず立っていた。聡士の首元は一日の労働を物語るようにシャツとネクタイが緩められ、けれどもそこから聡士の夜の色気のようなものが流れ出て来ているような気がして、淳汰は聡士に悟られないようひっそりと、息を呑んだ。

「よう」
「おう。……入る?」

 聡士は無言で頷くと、靴を脱いで中に上がり込んできた。

 聡士の番号に電話して二コール。電話が繋がった。

『おう、淳汰。なにどした?』

 電話の向こう側はざわざわと騒がしい。飲み屋にでもいるのだろうか。今夜の相手と? 聡士は明日も仕事なはずだ。いや、あの体力のありそうな聡士のことだ。次の日が休みだろうが仕事だろうが関係ないのだろう。そんな想像が先走って少し苛々する。

 仕事を終え、夕食は某家で牛丼を食べて帰って来た。事務所まで車通勤だから、基本仕事帰りに酒は飲まない。

 一人の部屋に戻った淳汰は、生活感のない冷蔵庫から缶ビールを取り出した。これでも本当は料理好きだったりする。ただ、誰かのためでないとその気が起きない。独り身になると、途端にそこはビール置き場へと変貌を遂げてしまう。

「やっぱそいつが一番悦かったって思ったんやろ?」
「ん、まぁ……」

「それはな、中野。……お前もそいつん事相当愛しちゃってるからやで」
「…………あ?」

「お前はな、そいつの事想う気持ちでイったんや」
「……、……あー……」

「――向こうもタチなら挿れられる覚悟くらいはしてから次会いに行った方がええやろな」



「あー……、……。やっぱそうなっちゃう?」

 聡士の冗談口調に乗って来なかった木戸に聡士は駄目押しのようにもう一度茶化すような口調を被せた。けれども木戸は今度も乗っては来ずに、どこか勝ち誇ったような、含ませた笑みを聡士に向けて大きく頷いた。聡士はつまらないとばかりに肩を竦めた。


元ネタ:『手紙 ~拝啓 十五の君へ~』


拝啓 この手紙読んでるあなたは どこで何をしているのだろう
十五の僕には誰にも誰にも話せない 悩みの種があるのです



小さい時からずっと一緒にいる彼のことが大好きで
でもその彼にはずっと好きな人がいます

こんなに傍にいるのに打ち明けられないこの想いは
いったいいつまで持ち続ける事が許されるのだろう

あの人を想う彼の傍にいる事で僕は少しずつ
自ら望んで傷を深めていっていて
それでもこの想いを断ち切ることができずにいます

未来の僕はこの叶うことのない恋に
一番良い形で終止符を打つことができていますか
心の痛みを伴わずに彼の傍に立つことができるようになっていますか


今負けそうで泣きそうで消えてしまいそうな僕は
誰の言葉を信じ歩けばいいの?
ひとつしかないこの胸が何度もばらばらに割れて
苦しい中で今を生きている
今を生きている

拝啓 この手紙読んでいるあなたが
幸せな事を願います






「――ハルカ、何笑ってんの?」

「ちょっと昔の事思い出してた」

「なんだよソレ」

「なんでも。行ってらっしゃい」

「ん、行ってくるな」




サトル×ハルカ
『そばにいるから。』



この曲初めて聞いた時からずっと書きたかったんすけど
とうとううぷってしまいますたダイジョブでしょかw
詩とか書いたことないんでフツウにそん頃のハルカの心情なだけですが\(^o^)/オワタ
グレーの部分は元ネタの歌詞まんますw
今(いつ)はハルカは念願の自分の店なんか持って
サトルはまだどっか企業に修行中。
でも二人シャーワセに、しかも一緒に住んでるっていうwそんな流れでw




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「一回ヤったら凄ぇヨくてさ」
「しかも一回ヤってんのかよ」

 木戸が脱力したように笑い、肩を竦めて運ばれてきたばかりのだし巻き玉子に箸を伸ばした。

「これでも遠慮してんだよ。ほんとは毎日でもヤって喘がせて啼かせてぐっちょぐちょにしてやりてぇ」
「お前な……怖いわほんま。それ向こうにも言うてんの?」

「――じゃあ、俺の事が気になって調子悪いとか?」

 まさかな、と半笑いで木戸が聞いた。

「ちげーよ。違うけど」
「けどなんや」
「んー……」

 聡士は衣服の下を透視しているかのようにじっと木戸を見詰めた。その纏りつく視線に木戸がなんやねん、と居心地悪そうに眉を寄せる。

「お疲れ」
「おう、お疲れ」

 オフィス街の一角にある居酒屋。木戸と聡士の二人は運ばれてきたばかりの生ビールをそれぞれ手にすると、もうそれが当たり前のことのようにガチリとジョッキを合わせた。

「――クソっ、なんなんだよ俺……っ」

 ――俺が一番気持ち悪ぃっつーの。女々し過ぎる。

「これじゃまるで……、……」

 ――まるで。

「おう」
「まだ仕事? お疲れ」

 聡士だった。傍らには男が一人。淳汰の知らない顔だった。プラチナブロンドにまで染め抜かれた短髪にしなやかな身体のラインを強調するような細身の服。中性的な雰囲気なのに漂う、いかにもなフェロモン。一言で言うと、エロそうな男。

 次の目的地に向けてハンドルを握りながら、この一週間延々考え続けている事がまた淳汰の思考を占める。

 この一週間、淳汰を苛んでいるもの。

 それは間違いなくあの男――聡士だった。

 聡士との行為で淳汰は、イかされはしたが聡士の宣言通り天国を見たとまでは思わない。もう一度挿れられたいかと問われれば、迷わずそれはないと答えるだろう。

「俺の指、キモチい?」

「ん、は、やく、コッチ、挿れ……っ」

「今日はちょっとオアズケ」

「っ、な、んで……?」

「荷物の方、以上です」
「うん、ありがと。ドライバーさんも休みの日にでも来てよ。お友達誘って」
「あ、そすね。ぜひ」

 某宅配業者のドライバーである淳汰の担当エリア内で、この日新しくオープンするダイニングバー。一番バタついていないだろうから、と開店少し前の夕方近い時刻を配達時間帯に指定され、淳汰は時間帯内でなく指定された時刻きっかりにその店へ荷物を届けた。

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