2ntブログ

2010年02月

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「難しいことは言いません。僕と一緒に来てくれればいいだけですよ」

 それが一番危険だと、本能が警鐘を鳴らす。けれども取引に応じた以上、慎治に選択肢はなかった。

「わぁったよ。じゃあ早いとこ行こうぜ」

 顎で戸口を指し、片頬を上げて笑みを見せてやる。そうすることで、そんなにしてまで俺が欲しいのかよ、と深井と自分との力関係を言外に示してみせた。

 本当のところ、桑山のことなどどうでも良かった。

 彼を村上から引き離すことができるのならば、村上に恋心を抱く慎治にとってはむしろ喜ばしいことだとさえ思える。

 そして恋人を失った村上を慰め、そうすることで村上の心が慎治のものになり得るのなら――。

 けれどもそうは行かないということは、慎治が誰よりもよく知っている。

 村上をよく知らない連中からは天然とも称される、あの緩い笑みの下には、たとえ不道徳だと後ろ指差されるようなことがあろうとも、愛した男――かつては妻帯者だった桑山を、一途に想うひたむきさが隠されている。
                       
「先生と生徒の関係なんて、とてもスキャンダラスだと思いませんか。その上、同性ですよ」

 ねぇ、と慎治に同意を求めるように、深井に覗き込まれる。その視線には応えずに、慎治は眉を寄せて深井から視線を逸らした。

 二人の関係に障壁はなくなったが、二人の社会的立場の違いは、まだ二人の関係を公にすることを許してはくれないだろう。否、たとえ村上が社会人になったとしても、男子校であるN高の教師が同性と関係を持つことができる人間だとは、公にできることではない。

「……ヤツが、なんだよ」

 まだ深井の口から村上の名が出ていない以上、慎治の方から不用意に彼の名を口にして、深井に村上の名前を教えることもない。

 慎重に言葉を選んで、深井に問い返した。

「彼は村上君、と言いましたよね。先日彼のことを見かけたんです、電車の中で。男性と、一緒でした」

 薄く笑って慎治の出方を窺う深井の目は、虎視眈々と慎治の隙を狙っているかに見える。

「だったら、どうだってんだよ」

 それの何が悪いのか。

 この店をそんな下衆な言われ方で表現されたくなかったが、深井の言葉通り、この店でも確かに気が合えば、そういった行為にも至る客は多くいる。ただそれが、相手が同性だというだけで、異性間で行われることと何ら変わりない。

「そうぉ? 慎治はアタシのお気に入りなんだから、オイタしちゃダメよぉ」
「しませんよ、勿論」

 マスターは冗談めかして眉を上げて見せたが、その目は鋭く光り、厄介やもめごとを持ち込むなと深井に警告している。

 マスターが刺した釘にも、深井はどこか鷹揚な態度で頷いた。

 そんな慎治の視線にも怯む様子もなく、深井はにやりと笑ったまま慎治の隣、引き寄せた椅子に腰を下ろした。

 無断で隣に座る深井に苛立ちを露わに、慎治は吸い込んだ煙を深井に向かって吐いてやる。深井は、その煙もただ軽く往なすように、視線だけでその行方を追った。

 その視線を慎治に戻し、深井が再び口を開いた。

「駅で偶然見かけたんですよ。予備校の方に行くかと思ったら、全く逆方向に歩いて行くものですから気になったんです。君がこの店に入るのを見届けたあと、控えていた講義をこなして、それからまた来てみたんです。まだいましたね」

 少しずつ客も入りはじめ、マスターを交えて馴染みになった他の客と他愛もない会話を楽しむ。

 この店で深酒になったことは一度もない。

 慎治の自制もあったはあったが、おそらくマスターの配慮もあったのだろう。心が少し解れたと感じる頃、帰りがたさと迫る時刻のジレンマに慎治が苛まされるほんの少し前に、彼によって家に帰るよううまく導かれた。

 どこにいても「優秀」だった。

 けれども「普通」にはなれない。

 だからと言って、はみ出し者の集まる場所にも馴染めない。

 どこに行けばいいのか、分からなかった。

 それ以前は、誰がどこにいるのかさえ分からない程に薄暗い、いわゆるその手のクラブに出入りしていた。話し声をかき消す騒音のような音楽の下、二言三言言葉を交わすだけでその夜の相手を決める。

 そこは誰でも受け入れる代わりに混沌で、退廃的だった。

 時刻は夜七時を過ぎていた。

 夜のとばりが降りた繁華街は昼間以上に明るく、人々はその眩さに魅せられ呼び寄せられる。
 
 平日の夜。
 
 仕事を終えてその労を酒で癒やそうと店を探す、くたびれたスーツ姿のサラリーマン達も見えた。

貴史×生連載終了の際は
たくさんのコメありがとうございますた!
あゆしん会話も含め
いただいてましたコメ全てにレスさせていただきまんた
もし見落とし等ありましたら
ご指摘くださいヌケヌケなモノですいませんorz


明日(2/18)分から更新再開しようかと思います
サボりグセつきすぎて
ここで宣言しないとまた延期してしまいそうで\(^o^)/
休みの間もクリックしてくださってるみなみなさま
ここを覗いてくださってるみなみなさま
ほんとありがとうございます。・゚・(ノД`)・゚・。

引き続きまたーりお付き合い
どぞよろすくおながいいたします!!


ベラ拝




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歩   : 26歳・タチ
慎治  : 36歳・元バリタチ



『歩? 今から帰るよ』

「うん、お疲れ慎治さん」

『何か要るモンある? 買って帰るよ』

「明日のふたりのごはん。三食分」

『え? 作んのヤなら食いに出かけてもいんだよ? 俺明日休みだし』

「休みだからだよ」

『あ?』

「明日は慎治さんのこと、ベッドから出さないから」

『あー……、……』



歩×慎治

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「今日は書かない~(*´∀`)」で一日ノンビリ過ごしますた(*´∀`)
今日はヒネリも何もないツマンナスな脳内垂れ流しすいませんw
慎治は電話の向こうで//////ってなってる体でw



 重なった手。見つめ合い、互いに表情を和らげる。

「ここで生に逢えたのは、偶然じゃねぇ、よね」
「ん……」

 奇跡のようにも思える二人の出逢い。けれどもそれはきっと、二人が結ばれるために用意されていた、運命のシナリオだったに違いないと、今なら思える。

 全てがこの瞬間と、二人がともに過ごすこれからの時間(とき)のために。

 眩い朝の光が二人を包む。

 澄んだの静けさの中、そっと、唇を重ねた。

 貴史の手が、生の頬を優しく拭う。

 その手の優しさにふと微笑んで、ほんの少し生より背の高い貴史をそっと見上げた。穏やかに笑む貴史の表情は、朝の光を浴びて眩しく映える。

 思わず、見惚れた。

「服、着られる? 見せたいもの、外なんだ」
「ん……」

 一体なんだろう、と思いながら、貴史に手伝われて、用意してあったTシャツとデニムを着る。手を取られて、部屋を出た。

「――生、……」
「ん……」

 優しく揺すられ、覚醒を促される。ゆっくりと、目を開いた。

「はよ生、……起きられる?」

 薄明かりの中、生を窺うように貴史が覗き込む。髪を摘むように梳かれる、その微かな振動が心地好い。

「ん、……」

 情事の翌朝を、こんなに甘い雰囲気で迎えたことは初めてで、どうすればいいのか分からずに、生はただ貴史を見上げた。

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