そのまま眉を上げ、目だけで大敬を見る。
「見たんだろ」
断定した口調で、大敬に確認のように聞いてきた。
「えっと……、あの」
全て、山中に見透かされていた。
「見たんだろ」
断定した口調で、大敬に確認のように聞いてきた。
「えっと……、あの」
全て、山中に見透かされていた。
大敬が、伏せられていたあの写真を見たということも。怒ったように部屋を出て行ったことも、その理由も。そして――。
窮地に立たされて、返事に詰まる。
「で、それで怒ったんだろ? 勘違いして『妻子ある身で俺を抱いたのか』って」
山中の表情がにやり、音の聞こえてきそうなしたり顔に変わった。
「ちが――」
「違くねぇだろ?」
「や、……」
しどろもどろで口をわななかせていると、山中がずい、と身を乗り出した。
「それでもなお」
話しながら、山中がコン、とローテーブルに缶を置く。その音が、いつの間にか張り詰めていた部屋の空気を刺すように響く。
さらに近づいてきた山中が、大敬の真横まで来た。大敬は逃げるように体勢を変え、たじたじと山中に向き合った。
「俺んとこに来てたってことは」
山中の手が伸びてくる。
逃げられない。
否、と大敬の奥底、自尊心のその奥に潜む声が言う。
早く、と。もう全て、分かっているんだろう、と。
「俺もう相当お前に愛されちゃってんだろ?」
「なに言っ……」
山中の指先が頬に触れる。
それだけでもう、そこを発端に全身が熱くなる。
動けないまま、山中を見据えたまま、山中の両手に両頬が包まれる。
この頬の熱さ、山中に伝わっているだろう。
山中の目が、愛おしいものを見るようにふと和らいだ。
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窮地に立たされて、返事に詰まる。
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「違くねぇだろ?」
「や、……」
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「俺んとこに来てたってことは」
山中の手が伸びてくる。
逃げられない。
否、と大敬の奥底、自尊心のその奥に潜む声が言う。
早く、と。もう全て、分かっているんだろう、と。
「俺もう相当お前に愛されちゃってんだろ?」
「なに言っ……」
山中の指先が頬に触れる。
それだけでもう、そこを発端に全身が熱くなる。
動けないまま、山中を見据えたまま、山中の両手に両頬が包まれる。
この頬の熱さ、山中に伝わっているだろう。
山中の目が、愛おしいものを見るようにふと和らいだ。
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