「田辺――」
山中の手が、大敬の頬をすり抜けるようにひと撫でし、そのままふわりと抱きしめられた。
「こう……昔から知ってる幼馴染が幸せそうなんとか見てるとまぁ、良かったな、って思う反面、ちょっと人恋しくもなるってもんだろ?」
大敬を説得するような、同調を求めるような、大敬のカラダに染み込ませるような声で山中が話す。
山中の手が、大敬の頬をすり抜けるようにひと撫でし、そのままふわりと抱きしめられた。
「こう……昔から知ってる幼馴染が幸せそうなんとか見てるとまぁ、良かったな、って思う反面、ちょっと人恋しくもなるってもんだろ?」
大敬を説得するような、同調を求めるような、大敬のカラダに染み込ませるような声で山中が話す。
幸せそうな家庭を目の当たりにしたら、自分は自分だと分かっていても、羨ましくもなるだろう。想う相手がいるなら尚更、自分もその相手と一緒になりたいと、願わずにはいられないだろう。
――俺だって、……。
同じだと思う。
求められて、与えられる喜び。
知ってしまったらもう、それなしではいられない。
同調を、理解を、そしてほんの少し、自分の想いを乗せて。
言葉で伝える代わりに、山中の背にそっと、腕を回した。
山中が耳元で、ほっと息を吐(つ)いた。
「あー田辺来ねぇかなぁ、とか、来るわけねぇか、とか。必死になんねぇにはどうするかを知ってる大人は逆に必死だよな」
『必死』
山中の、あの余裕の影に、そんな姿の山中がいたというのだろうか。しかもその、山中が必死になっている原因が……。
――俺。
うねりながら込み上げる、熱い感情。
この気持ちを、なんと呼べばいいのだろうか。
「そんな風に思いながら帰ってきて、エントランスでお前見つけたときの俺の喜びようったら」
なかったわ、と最後は呼吸だけで囁いて、山中は大敬を抱きしめる腕を強めた。
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――俺だって、……。
同じだと思う。
求められて、与えられる喜び。
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山中が耳元で、ほっと息を吐(つ)いた。
「あー田辺来ねぇかなぁ、とか、来るわけねぇか、とか。必死になんねぇにはどうするかを知ってる大人は逆に必死だよな」
『必死』
山中の、あの余裕の影に、そんな姿の山中がいたというのだろうか。しかもその、山中が必死になっている原因が……。
――俺。
うねりながら込み上げる、熱い感情。
この気持ちを、なんと呼べばいいのだろうか。
「そんな風に思いながら帰ってきて、エントランスでお前見つけたときの俺の喜びようったら」
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