2ntブログ

誰もがきっと、誰かの。(94)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「今、彼は……?」
「望木なら仕事終わって家戻ってるはずだよ。明日のこともあるから、寄り道もしないって、言ってた」
「分かりました」

 ――僕で役に立てるのかどうかは分からないけど。

 今、貴史に会わずに、いつ会うべき時があるというのだろう。貴史は、悪いこと続きだった生を、ほんの少しの言葉で勇気付け、たった一晩で自分は自分でいいんだと、また頑張ろうと思えるまでの力を与えてくれた。

 今、貴史が落ち込んでいると言うのなら、今度は生が行って、それを返したい。

「じゃあ、行ってやってくれるんだ」
「はい」

 はっきりとした口調で答え、頷いた。

「それとさ」

 わずかにほっとした表情を見せたのも束の間、七月が暢気な口調で話を続けた。

「『ブリージング・ファブ』の最新のカタログ、あったら欲しいんだけど。色々参考までに。七斗にいいのがあれば着せてもあげたいし」

 今ある? と形ばかり遠慮した表情でねだる七月の様子に、生の毒気が抜かれる。生は身構えていた身体から力が抜けるのを感じながらふと笑って、鞄の中から取り出した一部を七月に手渡した。






 少しぶりに降り立った駅。

 三週間前までは毎日通っていた風景は、けれども生が知るのは明るい時間帯のみだった。たった一度、暗い駅を降りたのはあの日、貴史に出逢ったあの日だけだ。夜の風景はそれだけで生にあの日を思い出させ、生の胸は切なく締め付けられる。

 今から貴史に会いに行く。

 躊躇うあまり来ることができなかった自分にきっかけをくれた七月に少しの感謝をしながら、生は貴史の部屋に向けて歩き出した。





←93へ / →95へ
←1から読む


ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
↑ランキング参加中す。よければクリック入魂一押ししてください。
 書く意欲に繋がってます(*´∀`)
携帯からはポイント反映されないことがあるようです(090907現在)
ぜひパソからの一押しお待ちしてます(*´∀`)



コメント
起きて待ってまーす。
早く読みたひ…。
2010/01/03(日) 00:24 | URL | mido。 #-[ 編集]
あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!ございまシタ!
>mido。さん(*´∀`)

先ほど更新を終えましたー(*´∀`)
いやー寝て待って下さってましたでしょうか
ありがとうございます(´Д⊂ヽ
色々拙いところばかりですが
今年もどぞよろすくおながいいたします!
応援コメまりがとんございますた(*´∀`)

*********************************

>秘密コメYさん(*´∀`)

いつもほんとにグダグダ焦らしプレイ(のつもりはないんすけどorz
すいませんですアセアセ
しかも今夜は更新が久々に0時を逃し
先ほど更新しましたが
どうでしょうか
こんな調子でぼちぼち展開&大団円(?)に向けて
やってこうと思ってますw
今夜もお越しまりがとんございますた(*´∀`)

2010/01/03(日) 01:21 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 

 | Copyright © がっつりBL的。 All rights reserved. | 

 / Template by 無料ブログ テンプレート カスタマイズ