2ntブログ

2010年04月

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 まあ食えよ、と勧められ、遠慮しすぎず、それでいて貪欲すぎない絶妙なペースで一品を食べ始める。

 何品目かに食べただし巻き卵を口にして「あ、これ旨い」とごく小さく呟く。

 良いものはごくシンプルに褒め、好くないものには口を閉ざす。

 計算づくなようでいて、それをごく自然体でできるところが大敬が周りから慕われ、あるいは可愛がられる所以だ。

 大敬自身、自分はいわゆる『空気』を読むのが上手い方だと思ってもいた。

「お疲れ」
「お疲れす」

 山中がグラスを差し出すと、大敬はそのグラスより少し低い位置からグラスを差し出し、ごく小さな会釈とともにグラス同士をカチリと合わせる。

 まずは一杯。

 山中がグラスを空けると、すかさず瓶を手に持ち空いたグラスに再びビールを注ぐ。山中から瓶を差し出されると、ビールが満たされたグラスを一気に飲み干して、その酌を受ける。これも全て身体に染みついた、体育会のならわしだった。

 大敬の所属する営業一課は大口企業を主な顧客としている。その中で大敬は、最近関東に急展開を広げるスポーツ量販店一社を担当していた。

 この七月から入社六年目にして、一人でその企業を担当することとなり、それからまだ一ヶ月が過ぎたばかりだった。

 籍は大阪本社に置いてはいるが、顧客の関係上関東にも足繁く通う必要があり、大敬のデスクも大阪本社と、今まで在籍していたここ、関東支社の両方に用意されている。

 出張という形で週の後半は関東支社に来ることがほとんどで、移動の多い不安定な生活にもようやく慣れたところだった。

 金曜。

 定時を過ぎたオフィスは、アフターファイブに気を取られた社員たちでフロアはどこか浮き足立つ。

 田辺大敬(ひろたか)が働くここ、スポーツ総合商社『株式会社ナシノ』の営業部門でも、他の会社とどこも変わった様子もなく、浮ついた雰囲気が漂っていた。

 そんな中、大敬ただ一人だけが自席に座ったまま、憂鬱を隠さずに目の前のノートパソコンのディスプレイに向かって盛大なため息をついた。

野田学(のださとる) :17歳。ヤンチャで明るい俺様系。
井島悠(いじまはるか):17歳。芯の強い健気系。
ハルカ母:ジャズシンガー。大物歌手のコーラスとしてツアーに回ったりも。

於:金曜。学校の教室。サトルはいつものようにチュッパチャップス頬張り中。


「サトル」

「んぁ? あんだよ」

「さっき店長からメールあって、『明日店入れないか』って……」

「んぉ? で?」

「明日から母さん、ツアーでいないから、……」

「あ、マジ?」

「うん……」

「ハルカお前それぜってー断れ。明日お前んち泊まり行く」

「うん」



学×悠

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ナンダカンダでハルカもヤる気マンマン┐(´д`)┌ヤレヤレ

次の話、もうちょとだけネリネリしたいんで
ちょとお休みするかもです!



 部屋に一人残されて、静けさの中、改めて空を見上げた。

 月は相変わらず寒そうにぽっかりと浮かび、慎治の心をしんと冷やす。けれどもその冷たさが、まだ身体の奥で燻ぶる熱を優しく鎮めてくれるかのようだった。

「……今日、月きれいね」

 マスターがふと窓に目を向けて、話しかけるでもない様子で呟いた。彼の視線を追って慎治も外に目を向けると、通りの向かい、建ち並ぶビルの上で白い月がひっそりと、静かに慎治を見ていた。

 慎治はその月と同じ冷えた目で、じっとその光景を見た。その視線の温度に微かに笑って、彼はまた、慎治の髪を撫でた。

 ずいぶん長い時間、彼に抱き締められていた。

 彼はただ黙って慎治を抱き締め、いつまでたっても小さく震えたままの無防備な背を撫でていた。

 彼の腕は、懐かしいような、それでいて未だ知らないような心地よさだった。その腕に身を委ねていると、昂ぶり尖っていた神経が少しずつ鎮まってゆくのを感じた。その間ずっと泣いていたわけではなかったが、彼の不思議な力に包まれ、慎治からはその腕を解くことはできなかった。

「目、瞑ってたらいいわよ。慎治は何もしなくていいから」
「ん……、……っ」

 優しい仕草で背を撫でる彼の手に、性的な意図が込められるのを感じる。

 僅かに力の入った彼の指先が、ゆっくりと身体のラインをなぞる。それだけで、燻り続けていた欲望はあっという間に限界近くまで張り詰めた。

「っ、……」

 明らかにびくりと身体を震わせて、身を固くした。

 ほんの少し触れられただけで頬が紅潮して熱くなるのが自分でも分かる。

 なんとか悟られまいとマスターから目を逸らせたが、それを彼が見逃すはずもなく、顔を覗き込まれた。

 マスターに抱えられるように助けられ、タクシーで連れられたのは店のすぐ近くにあるマンションの一室だった。

「今日はここで寝てったらいいわ」
「ここ……」
「私んちよ。彼氏でもないオトコ連れて来ることなんて滅多にないんだから」

 感謝しなさいよ、と軽く睨まれ、ベッドに横たえられる。

「俺は……」

 突然問いを向けられて、霞がかかった働かない頭でぼんやりと考えた。

「こんなヤツ逮捕に決まってるじゃないっ。慎治をこんな目に遭わせといて、許すワケないでしょっ」

 慎治の拘束を解きながら、マスターがヒステリックに喚く。ねぇ慎治? と同意を求めてマスターに覗き込まれ、その顔をどこか焦点の合わない目で見つめた。

 新山の言葉に驚いたのか、深井が刑事の手を振りほどこうと抵抗していた動きを止めた。耳を疑っているかのように、新山を凝視する。

「俺じゃだめかよ先生?」
「……新山君……?」

「俺になら、先生のしたいことなんだってしたって構わねぇよ」
「どうしてそんな、僕なんかに……」

「先生だけが、俺に『頑張れば君ならできるよ』って、言ってくれたから。……どいつも無理だとしか、言ってくんなかったのに」
「……そんな些細なことで、まさか」

「慎治っ、ダイジョブなのっ?」

 当の慎治より悲痛な表情で、マスターが見つけた慎治をシーツの上から抱き起こした。

「ン、っ」

 薬と延々続けられた行為により過敏になった身体は彼の感極まった抱擁に耐えることができず、思わず顔を苦痛に歪めた。薄い布越しに明らかに分かる違和感に眉を寄せ、マスターがシーツを捲った。

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