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Sister Moon(33)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「俺は……」

 突然問いを向けられて、霞がかかった働かない頭でぼんやりと考えた。

「こんなヤツ逮捕に決まってるじゃないっ。慎治をこんな目に遭わせといて、許すワケないでしょっ」

 慎治の拘束を解きながら、マスターがヒステリックに喚く。ねぇ慎治? と同意を求めてマスターに覗き込まれ、その顔をどこか焦点の合わない目で見つめた。

「俺は、いいよ。警察沙汰とか、……面倒だし」
「でも慎治ぃ……」

 彼が逮捕されるとなると、彼と関わった者として、調書その他の手間が慎治を待っているだろう。確かにそれらは面倒ではあった。

 けれどもそのことより、本当は。

「いいんだ、マジで。なんか、分かるし」
「慎治……」

 彼も言っていた。自分たちは「同じ」だと。

 どこに行っても自分は「違う」という孤独。

 誰にも理解してもらえず、自分の身の置き所が分からないまま彼の年齢まで年を重ねたら、慎治も彼のようにいつか壊れ、自らを破滅に導いていたかも知れない。

 でも今はこうやって、窮地を助けに来てくれるような存在がある。

 自分の存在をありのままに認めてくれるような場所がある。

「――それに今、先生が逮捕されたら困るヤツもいるみてぇだし」

 やっと自由になった両手。痺れる腕を労わるように、マスターがその腕を撫でてくれる。それさえも快感に変わりそうで、あとは自分でやるよと、シーツを手繰り寄せて己の身体に被せた。

「そうよ、ちゃんといるじゃないのよね、相手」

 素直に慎治から手を引いて、マスターがぼやくように言葉を吐き出した。やぁねぇ、と眉を寄せて苦笑いして、慎治に首を竦めてみせる。慎治はただ、うん、とだけ応え、緩い笑みを浮かべた。


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歩×慎治


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コメント
 昨日はなぜか記事が全然表示されず、読めなくて切ない~と送った拍手もなぜかどこかに行ってしまった様子で、私のPC本気で壊れたんじゃ…と心配していたんですが、今日は読めてホッとしてます~~。

 慎治さん、この年齢で、もう大人みたいだなぁ。。。
2010/04/08(木) 08:34 | URL | 如月久美子 #-[ 編集]
まりがとうございます~っ(´Д⊂ヽ
>如月さん(*´∀`)

二度にわたるお手間まりまとんございますすいません~っ!!
昨日はどうやら115鯖のメンテが長引いた&エラーだったようで
過去記事全部表示されない時間が結構あったみたいでorz
記事全消しとかにならなくてホント良かったです(;´Д`)
万一全消しの刑に遭っても無料だから文句言えない?とか思ってほんとすんごい冷や汗ですた(;´Д`)

慎治、高校生ん時の歩には外泊に厳しかったクセに
自分はしまくってますた\(^o^)/
早くオトナになりたかたてのもあるっぽい気がするす
で、オトナ通り越して若年寄、っつうwww

もうちょとで終わりですが
引き続きのお付き合いよろすくおながいします!!!
2010/04/08(木) 23:10 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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