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Sister Moon(35)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「っ、……」

 明らかにびくりと身体を震わせて、身を固くした。

 ほんの少し触れられただけで頬が紅潮して熱くなるのが自分でも分かる。

 なんとか悟られまいとマスターから目を逸らせたが、それを彼が見逃すはずもなく、顔を覗き込まれた。

「アナタ、何か一服盛られたわね」
「……、……ん」

 誤魔化しきれないと諦めて、素直に頷いた。

「慎治……、……辛かった、わね」
「んなこと……ねーよ」

 ぼそりと呟いて、それでも表情は嘘をつけずに、唇が小さく尖った。

 ふぅ、とため息が一つ聞こえ、拗ねたような目でマスターを見た。彼は優しい笑みを湛え、慎治を見ていた。

「……、なんだよ、……っ」

 彼の手が伸びてきたと同時、気付いた時には彼の腕の中だった。力強く抱きしめられ、その腕の強さに抗うように身じろぐと、より強く抱きしめられた。

「……、離せ、って……」
「じっとして。……私に、委ねて」

 人肌の温もりは、今の慎治にとってはそれだけで欲情を誘う。

 未だ熱を放出しないままだった身体に、沸々と呼び戻される欲望が背を駆け抜けた。彼の腕の中で小さく身震いすると、それを知ってか知らずか、慎治を労るようにマスターの手が背を撫でる。

「私が抱いてあげるから」
「……、……」

 言葉遣いに反して、力強い彼の腕は男そのもので、けれどもその強さこそが、包み込むような優しさで慎治を安堵へと導く。

 なぜか、鼻の奥がツンと、痛くなる。

「ヤなことがあったあとに、少しはイイこともあったなって、せめてそういう思い出になるように……」

 二人の間に僅かな隙間ができたかと思うと、そっと撫でるように優しく、着ていたものを脱がされた。


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歩×慎治


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コメント
マスターの言葉が優し過ぎですっ!(涙)
なんかこういう親愛の情プラス、みたいな関係も素敵ですよね☆
こんな人が傍に居てくれたからこそ、今の慎治さんがあるんだなって思いましたv
2010/04/12(月) 10:46 | URL | 蛍 #-[ 編集]
あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!ございます~(*´∀`)
>蛍さん(*´∀`)

お忙しいところお越し&コメありがとうございマス!(´Д⊂ヽ
ほんとのトコ彼はマスターじゃなくてママだよなぁとか思いつつ
今更変えれないてのと
「ママ」という言葉に萌えない、というのでマスターのまま突っ走っておりますw
(マスターて言葉にも萌えませんが\(^o^)/オワタ)

彼の抱き方は、慎治が歩を拾ってきた時の抱き方そのものなイメージだたりします(*´∀`)
理解してくれる人がいるってことは
ほんとに人を変えたり救えたりすると思うす(´Д⊂ヽ
私もそゆヒトになりたいす(*´ρ`)

ありがとうございますたーっ!!
2010/04/13(火) 00:52 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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