「慎治っ、ダイジョブなのっ?」
当の慎治より悲痛な表情で、マスターが見つけた慎治をシーツの上から抱き起こした。
「ン、っ」
薬と延々続けられた行為により過敏になった身体は彼の感極まった抱擁に耐えることができず、思わず顔を苦痛に歪めた。薄い布越しに明らかに分かる違和感に眉を寄せ、マスターがシーツを捲った。
当の慎治より悲痛な表情で、マスターが見つけた慎治をシーツの上から抱き起こした。
「ン、っ」
薬と延々続けられた行為により過敏になった身体は彼の感極まった抱擁に耐えることができず、思わず顔を苦痛に歪めた。薄い布越しに明らかに分かる違和感に眉を寄せ、マスターがシーツを捲った。
「慎治アナタ……」
露わになった裸体。拘束され、赤い蝋が落とされた痛々しいその姿に彼は絶句した。
「――こんな趣味があったなんて、知らなかったわ」
「ねぇよ」
しばしの無言ののち、マスターから吐き出された間の抜けた台詞に、思わず慎治から気だるい笑みが漏れた。その笑みに、彼も哀しげに笑った。
「――どうして僕ばかりっ」
深井の興奮気味の声が部屋に響き、二人は深井と彼を取り巻く男二人に目を向けた。
一人は先刻警察と名乗った刑事なのか、落ち着いた表情で深井を宥めるように両の肩を掴んでいる。
もう一人は二人から一歩下がって深井を心配そうに見守る慎治の知った顔――予備校で見かける、新山と言う名の学生だった。
「どうして彼には助けが来る? 僕には、警察が来たと言うのにっ。ここのことも、誰にも話したことがないのにどうしてっ」
「俺があとつけたんだよ先生っ」
深井の言葉に被せるように新山が叫んだ。深井が驚いたように目を見開いて新山を見る。
「いつもとなんか様子の違う先生が気になって、あとつけて来たんだ。店の前まで来て、中に入るかどうしようかって迷ってたら、そしたら先生、あいつと出て来たからっ」
吐露する言葉は彼の心の叫びでもあるかのように、新山が辛そうに声を絞り出す。
「けどなんか、雰囲気ヘンだし、先生は思い詰めたような顔してるしっ」
「新山君……」
「なんかあんじゃねぇかって。心配んなったんだよ……先生のことが」
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「――こんな趣味があったなんて、知らなかったわ」
「ねぇよ」
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「――どうして僕ばかりっ」
深井の興奮気味の声が部屋に響き、二人は深井と彼を取り巻く男二人に目を向けた。
一人は先刻警察と名乗った刑事なのか、落ち着いた表情で深井を宥めるように両の肩を掴んでいる。
もう一人は二人から一歩下がって深井を心配そうに見守る慎治の知った顔――予備校で見かける、新山と言う名の学生だった。
「どうして彼には助けが来る? 僕には、警察が来たと言うのにっ。ここのことも、誰にも話したことがないのにどうしてっ」
「俺があとつけたんだよ先生っ」
深井の言葉に被せるように新山が叫んだ。深井が驚いたように目を見開いて新山を見る。
「いつもとなんか様子の違う先生が気になって、あとつけて来たんだ。店の前まで来て、中に入るかどうしようかって迷ってたら、そしたら先生、あいつと出て来たからっ」
吐露する言葉は彼の心の叫びでもあるかのように、新山が辛そうに声を絞り出す。
「けどなんか、雰囲気ヘンだし、先生は思い詰めたような顔してるしっ」
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