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続・三垣君の苦悩の日々(1)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「これ、本当にお前が書いたのか?」

 差し出されたレポート用紙に目を通した三垣は目を丸くした。

 生徒会長の恋の行方。彼の想い人が二つも年下のダークホースにかっさらわれた様子をすっぱ抜いた大スクープ記事だった。

「はいっ! ……次の号外に、どうですか?」

 色素の薄い瞳が、三垣を伺うように見つめる。

「……凄すぎて、記事にできねえな……。来年、部費が回って来なくなるぞ」

 もう一度、じっくり読み返しながら三垣は言った。記事の内容は詳細で、情報通を誇る三垣の知り得なかった部分まで書き込まれている。遠目ではあるが、本人だと判る写真もついていた。

 驚いたな。初めて書かせてみた記事がこんな大スクープだとは。

 三垣はレポートと、それを書いた村椿を交互に見た。彼の容姿と、今までのトロクサさからは考えられないようなしっかりとした内容に、三垣はまだこの記事を書いたのが村椿であるとは到底信じることができなかった。

「やっぱり、だめですか……」

 村椿が落胆の色を見せる。目元の泣きぼくろが彼の涙腺を今にもくすぐり始めそうだ。三垣は慌ててフォローした。

「いや、だめじゃない。だめじゃねーよ。記事としては、すっげえ面白いし、正直驚いた。俺もこの件に関しては、すげえ興味あったネタだったんだけどさ。……生徒会絡みはなぁ……」

 生徒会から睨まれると部の存続すら危うくなるのは本当だ。現生徒会長は、わりと話の分かるお方で、多少の色物記事には目をつぶってくれている。それだけに、怒らせたときの反動が怖い。

「こんだけ書けりゃ、これからももっと凄い記事が書けるだろうよ。記事が一個不採用になるくらいで、ヘコみなさんな」

 三垣はぽんと村椿の頭に手を置いた。

「……ん?」

 三垣は置いた手の、その位置の高さにまた驚いた。

「お前、背、デカくなったな……」

 入学当初は確か百六十センチそこそこだったはずの彼の身長が、いつの間にか百七十五センチある三垣の目線の少し上まで伸び上がってきている。

「あ、はい。高校入って、急に伸び出しちゃって……。もうすぐ百七十になりそうです」

 照れくさそうに頬を染めて村椿が答える。三垣は半ば呆然と目だけで空を見た。

 村椿が自分の身長を越すのも時間の問題かもしれない。そういえば、まだあどけなさの残る顔に、どこかしら男らしさが加わって、もともとの美貌にまた別の魅力が出てきているようだ。我が新聞部にもいたよ、とんでもないダークホースが。

「あ、そう……」

 三垣は、驚きがまだ癒えないままぼんやりとそう答えるしかできなかった。

「……えっと、とりあえず、また資料が溜まりだしてるんで、整理しに行ってきます。……早く三垣部長に一人前と認めてもらえるよう、がんばります……」

 村椿は頬染めながらも、きりっと唇を結んでそう言って、隣の資料室へと向かった。


 ――ばさばさばさぁっ!

 資料室で書類が崩れ落ちる音がしたが、三垣の耳には届かなかった。



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コメント
私事で申し訳ございませんが、私は背の高い人が苦手でして。
上限173cmと決めております(何の上限よ!?)

そうなんよ、オトナの事情ってヤツなんよ。
そういうことを知りながら、成長していくのね・・・ホロリ。
ガンバレ新聞少年!!
2007/11/06(火) 16:57 | URL | 平和堂書店 #-[ 編集]
身長が高い人が苦手!
初めて聞きますた!
背の高い人ばかりがモテるんだと思ってましたが
そういう方もいらっしゃるんですね…
ウロコポロリ。

生徒会長の恋の行方については
未アップで実は在庫にありますwwww
アップする前に大幅加筆修正が必要な
大昔に描いたハナシだったりします…
いつかアップしたいですwwww
2007/11/06(火) 21:55 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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