「おい、繁?」
覗きこむように見て雄大は驚いた。繁が一粒、また一粒と涙を落としていたのだ。
「お、お前、泣いてんの?! 何で? 普通こういう立場では泣くのはやられた俺の方なんじゃねぇの? それとも、俺とやった事、泣く程後悔してんの?」
覗きこむように見て雄大は驚いた。繁が一粒、また一粒と涙を落としていたのだ。
「お、お前、泣いてんの?! 何で? 普通こういう立場では泣くのはやられた俺の方なんじゃねぇの? それとも、俺とやった事、泣く程後悔してんの?」
「違うっ!! ……違う。ユウ、聞いてくれ。五年振りに会っといて、突然でお前は驚いたかもしれないけど、違うんだ。俺はやっとの思いで連絡先が判らなくなったお前の住所を探し出して、やっと昨日声を掛けたんだ。夕べは酔ったフリしただけで、俺はシラフだった。高校の時からずっと、ユウのこと、好きだった。こうなりたいと思ってたんだ」
連絡先が判らないのは当然だろう。雄大が繁への気持ちを断ち切るために、誰にも教えず一人暮らしを始めたのだ。
「で、こうなってどうするつもりなんだよ?」
雄大が冷たく言い放つと、また繁の目からぱたぱたっと音を立てて涙が落ちた。自分より一回りも大きいくせして小さく震えて涙を落とす恋しい友人に、雄大は実のところもう手を差し伸べて抱きしめたい気持ちで一杯だった。けれども五年前の決意はまだ揺るがない。雄大は代わりに苦しそうに唇を噛んだ。
「お前が、俺に責任取らせてくれなさそうだし、それに、お前……何か慣れてそうだったし……。お前、かわいいし、もてるだろうから、俺なんかお前から見たら大勢言い寄ってくる中の一人ってだけなんだろうなぁ……とか思ったら、とうとうユウの事、諦める日が来てしまったかな、とか……」
と言ってまたぱたぱた、という音がする。
思いもかけない言葉に驚いて、雄大は持っていたコーヒーを零しそうになった。怒ったようにマグを机に置くと、揺れた水面がマグを超えて少し机を濡らした。
「慣れてるって……。んなワケないだろっ。……初めてだったっつうの」
後ろはもちろん、同性にあんな所を触れられたのも本当に初めてだった。
「え、マジ……? じゃあなんであんなに……」
――あんなに何だよ、感じてたかって?
考えて雄大はかっと頬を紅潮させた。
「そ……、それは、おっ……、お前だったからだろっ!」
自棄になって雄大は声を荒げる。
「え、ユウ……? 嘘……? それって……」
繁は信じられないと言った驚きの表情で、やっと顔を上げた。頬を伝う涙。五年前と変わらず、この男が愛しい。
ぐらり。
決意が音を立てて揺らいだ。
「お……、俺だって……俺だって……!」
ダメだ、と思ってももう止まらなかった。封印したはずの五年も前の辛い恋心が蘇ってくる。
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連絡先が判らないのは当然だろう。雄大が繁への気持ちを断ち切るために、誰にも教えず一人暮らしを始めたのだ。
「で、こうなってどうするつもりなんだよ?」
雄大が冷たく言い放つと、また繁の目からぱたぱたっと音を立てて涙が落ちた。自分より一回りも大きいくせして小さく震えて涙を落とす恋しい友人に、雄大は実のところもう手を差し伸べて抱きしめたい気持ちで一杯だった。けれども五年前の決意はまだ揺るがない。雄大は代わりに苦しそうに唇を噛んだ。
「お前が、俺に責任取らせてくれなさそうだし、それに、お前……何か慣れてそうだったし……。お前、かわいいし、もてるだろうから、俺なんかお前から見たら大勢言い寄ってくる中の一人ってだけなんだろうなぁ……とか思ったら、とうとうユウの事、諦める日が来てしまったかな、とか……」
と言ってまたぱたぱた、という音がする。
思いもかけない言葉に驚いて、雄大は持っていたコーヒーを零しそうになった。怒ったようにマグを机に置くと、揺れた水面がマグを超えて少し机を濡らした。
「慣れてるって……。んなワケないだろっ。……初めてだったっつうの」
後ろはもちろん、同性にあんな所を触れられたのも本当に初めてだった。
「え、マジ……? じゃあなんであんなに……」
――あんなに何だよ、感じてたかって?
考えて雄大はかっと頬を紅潮させた。
「そ……、それは、おっ……、お前だったからだろっ!」
自棄になって雄大は声を荒げる。
「え、ユウ……? 嘘……? それって……」
繁は信じられないと言った驚きの表情で、やっと顔を上げた。頬を伝う涙。五年前と変わらず、この男が愛しい。
ぐらり。
決意が音を立てて揺らいだ。
「お……、俺だって……俺だって……!」
ダメだ、と思ってももう止まらなかった。封印したはずの五年も前の辛い恋心が蘇ってくる。
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コメント
うお~~一気に盛り上がってまいりましたね。
「封印」してたものは、いざ封を切ったらひつよー異常に勢いよくあふれ出てくるものでございます。
だからやっぱり定期的に処理を・・・て、え、ナンの話!?
「封印」してたものは、いざ封を切ったらひつよー異常に勢いよくあふれ出てくるものでございます。
だからやっぱり定期的に処理を・・・て、え、ナンの話!?
2007/11/07(水) 15:10 | URL | 平和堂書店 #-[ 編集]
こちらも結構昔に描いたものを
加筆修正したものなので
話の展開の急さになどはまだまだ未熟で…
と言い訳しようとしましたが
今もたいして変わらないので
言い訳になりません\(^o^)/オワタ
定期的に処理…古いメールとか…wwwww
加筆修正したものなので
話の展開の急さになどはまだまだ未熟で…
と言い訳しようとしましたが
今もたいして変わらないので
言い訳になりません\(^o^)/オワタ
定期的に処理…古いメールとか…wwwww
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