――コンコン。
圭吾の住むワンルームマンションの、駐車場に面した唯一の窓から小さくノックの音がする。一階にあるこの部屋の防犯とプライバシー保護のために施されたワイヤー入りの磨りガラスを開けると、自転車に跨ったままの浩太がに、っと笑って立っている。
圭吾の住むワンルームマンションの、駐車場に面した唯一の窓から小さくノックの音がする。一階にあるこの部屋の防犯とプライバシー保護のために施されたワイヤー入りの磨りガラスを開けると、自転車に跨ったままの浩太がに、っと笑って立っている。
「誰かいる?」
浩太が首を伸ばして伺うように部屋の中を覗き込む。
「誰も」
圭吾が体をずらして部屋の中を見せる。するとすぐに浩太は自転車を駐車場の脇に置き、窓からは正反対に位置する玄関へと向かった。圭吾が慌てて玄関の鍵を開けに行く。
「遊ぼ」
浩太がそう言って部屋の主である圭吾の返事を待たずに、つかつかと部屋の中へ入ってきた。
「今日はまた随分遅くのお出ましだな。もう夜中の一時だぞ」
圭吾は努めて迷惑そうに言う。
「まあまあ、そう言わないで。ビール持って来たからさ。飲も飲も」
浩太は持参した買い物袋から缶ビールを取り出し、圭吾に手渡した。プルタブを引くと、さっきまで自転車に揺られていた振動で泡立ったビールが勢い良くぷしゅう、と音を立てて次から次へと溢れ出てきた。
「うわ、ちょっ……!」
溢れ出るビールをこぼさない様缶をすすり上げる。
「ビール持って来てくれるのはいいけどさ、お前、もう少し揺らさない様に持って来いよなぁ」
ビールの噴出をようやく飲み収め、圭吾は不満たらしく浩太を睨みつけた。浩太はまだビールと奮闘中だ。飲みきれなかったビールが、唇から顎、首筋へと伝って流れている。白い首筋に落ちる滴に圭吾の目は釘付けになる。そしてその首の付け根には、赤い、痕。浩太の恋人が付けた、浩太の所有権を、圭吾に誇示するかのような。
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圭吾は努めて迷惑そうに言う。
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浩太は持参した買い物袋から缶ビールを取り出し、圭吾に手渡した。プルタブを引くと、さっきまで自転車に揺られていた振動で泡立ったビールが勢い良くぷしゅう、と音を立てて次から次へと溢れ出てきた。
「うわ、ちょっ……!」
溢れ出るビールをこぼさない様缶をすすり上げる。
「ビール持って来てくれるのはいいけどさ、お前、もう少し揺らさない様に持って来いよなぁ」
ビールの噴出をようやく飲み収め、圭吾は不満たらしく浩太を睨みつけた。浩太はまだビールと奮闘中だ。飲みきれなかったビールが、唇から顎、首筋へと伝って流れている。白い首筋に落ちる滴に圭吾の目は釘付けになる。そしてその首の付け根には、赤い、痕。浩太の恋人が付けた、浩太の所有権を、圭吾に誇示するかのような。
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