「え~っ、月見団子って……みたらしぃ~?」
良充が不満そうに口を尖らせて啓輔が手にしているみたらしだんごのパックを見下ろした。
「お……おかんが買ってきたんがこれやってんからしゃあないやろ」
内心汗だくだくで啓輔がしどろもどろに答える。
良充が不満そうに口を尖らせて啓輔が手にしているみたらしだんごのパックを見下ろした。
「お……おかんが買ってきたんがこれやってんからしゃあないやろ」
内心汗だくだくで啓輔がしどろもどろに答える。
今日は仲秋の名月。月見をやってみたい、というのは良充の希望だった。良充に団子係を任命された啓輔は前日母親に団子の調達を頼んでおいた。良充と学校からの帰り道、一緒にすすきを摘んで帰った事だし、あとは団子だ、とワクドキしながら一旦家に戻った啓輔が、用意されていたものがみたらし団子と知った時は愕然とした。張り切ってる様子の母親を見て安心していただけにショックは大きい。
「何言うてんの~。朝美堂のみたらしゆうたらおいしくていつも午前中で売り切れんねんよぉ。張り切って開店前から店の前で待っててんから~」
不満そうな啓輔に母親が口を尖らせたから、それ以上は何も言えなかった。
そして今、良充にも口を尖らせられている。
「なんか木ぃの四角い台に白い団子をさ~、こう……ピラミッドみたいに乗せてさ~、そういうのちゃうん月見団子って~」
「うん……まぁ俺もそう思っててんけどな」
しゃあないな~、とかエラソウにほざきながらさっき二人で摘んだ目一杯のすすきの束を抱えて良充が縁側に向かった。慌てて啓輔も続く。
「…………」
二人で見上げた月はものすごく微妙な月だった。見えないわけではないが雲に隠れて薄ぼんやーりと滲んでいる。
「ん~も~来年リベンジやっ! 啓輔、みたらし食おっ」
「おう、食お食お」
啓輔はパックから一本取って良充に手渡した。
「わ、わわわっ」
受け取ったみたらしのタレが串を伝って良充の手に垂れ落ちる。良充はそれをれろ~っ、となんともイヤラシイ舌使いで舐め取った。
「……お前……それワザと?」
一人コッソリ心拍数を上げて啓輔が問う。
「え? 何が?」
振り向く良充のイノセントフェイスカッコ口の回りにはタレ付きカッコ閉じを見て啓輔は今日もまたぐっと後ろめたい気分になる。
「な……ナンデモナイ」
思わず視線を逸らせて啓輔もみたらしに食いついた。
「あ~……でも旨いな、コレ」
もう一本くれ、と良充が手を伸ばしてくる。おう、と啓輔はパックを差し出した。良充はまたわわわっ、でれろ~っとやる。そして啓輔もまた心拍数を上げる。
「あ~なんか……来年もみたらしでもエエな、っちゅうくらい旨かったわ」
パックを空にして、啓輔に口元を拭われながら良充が満足そうに笑う。
「……ホンマホンマ」
――みたらしバンザイや。
詳細内容は若干違うものの、啓輔は同意の頷きを返した。
「……お」
良充が顔を上げた。その視線を追って、啓輔も空を見上げる。いつの間にか雲が晴れ、まあるい月が出ていた。
「来年もやろな、お月見……」
月を見ながら良充が言った。
「おう、やろな……」
月を見る良充を見つめながら、啓輔は小さく頷いた。
おしまい
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「何言うてんの~。朝美堂のみたらしゆうたらおいしくていつも午前中で売り切れんねんよぉ。張り切って開店前から店の前で待っててんから~」
不満そうな啓輔に母親が口を尖らせたから、それ以上は何も言えなかった。
そして今、良充にも口を尖らせられている。
「なんか木ぃの四角い台に白い団子をさ~、こう……ピラミッドみたいに乗せてさ~、そういうのちゃうん月見団子って~」
「うん……まぁ俺もそう思っててんけどな」
しゃあないな~、とかエラソウにほざきながらさっき二人で摘んだ目一杯のすすきの束を抱えて良充が縁側に向かった。慌てて啓輔も続く。
「…………」
二人で見上げた月はものすごく微妙な月だった。見えないわけではないが雲に隠れて薄ぼんやーりと滲んでいる。
「ん~も~来年リベンジやっ! 啓輔、みたらし食おっ」
「おう、食お食お」
啓輔はパックから一本取って良充に手渡した。
「わ、わわわっ」
受け取ったみたらしのタレが串を伝って良充の手に垂れ落ちる。良充はそれをれろ~っ、となんともイヤラシイ舌使いで舐め取った。
「……お前……それワザと?」
一人コッソリ心拍数を上げて啓輔が問う。
「え? 何が?」
振り向く良充のイノセントフェイスカッコ口の回りにはタレ付きカッコ閉じを見て啓輔は今日もまたぐっと後ろめたい気分になる。
「な……ナンデモナイ」
思わず視線を逸らせて啓輔もみたらしに食いついた。
「あ~……でも旨いな、コレ」
もう一本くれ、と良充が手を伸ばしてくる。おう、と啓輔はパックを差し出した。良充はまたわわわっ、でれろ~っとやる。そして啓輔もまた心拍数を上げる。
「あ~なんか……来年もみたらしでもエエな、っちゅうくらい旨かったわ」
パックを空にして、啓輔に口元を拭われながら良充が満足そうに笑う。
「……ホンマホンマ」
――みたらしバンザイや。
詳細内容は若干違うものの、啓輔は同意の頷きを返した。
「……お」
良充が顔を上げた。その視線を追って、啓輔も空を見上げる。いつの間にか雲が晴れ、まあるい月が出ていた。
「来年もやろな、お月見……」
月を見ながら良充が言った。
「おう、やろな……」
月を見る良充を見つめながら、啓輔は小さく頷いた。
おしまい
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コメント
>イチゴサン
いつもありがとうございますm(_ _)m
イチゴさんの言葉で
またこの二人を書こうかと思えます!嬉!
しかし二人の進展はきっと見られないかと…(汗)
いつもありがとうございますm(_ _)m
イチゴさんの言葉で
またこの二人を書こうかと思えます!嬉!
しかし二人の進展はきっと見られないかと…(汗)
これおかしい!!^0^
>振り向く良充のイノセントフェイスカッコ口の回りにはタレ付きカッコ閉じ
>みたらしバンザイや。
爆笑しました。
やっぱ、関西モンやないと、こういうセンスは!!
ちゅうか、おかあはん、白玉団子くらい、作ってやんなはれ・・・--;
>振り向く良充のイノセントフェイスカッコ口の回りにはタレ付きカッコ閉じ
>みたらしバンザイや。
爆笑しました。
やっぱ、関西モンやないと、こういうセンスは!!
ちゅうか、おかあはん、白玉団子くらい、作ってやんなはれ・・・--;
2007/11/10(土) 16:26 | URL | 平和堂書店 #-[ 編集]
()で書いてしまうかカッコ・カッコ閉じで書くかちょっと迷ったトコロです。
反応もらえてウレシイですv
あ、白玉団子って…そーか
作るんですね…ははは…wwww
反応もらえてウレシイですv
あ、白玉団子って…そーか
作るんですね…ははは…wwww
あかんあかん()で括ったらふつーやん、読み流してしまう。
こんな書き方初めて見た、めっちゃ笑いました。
こんな書き方初めて見た、めっちゃ笑いました。
2007/11/11(日) 07:24 | URL | 平和堂書店 #-[ 編集]
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