――キスくらい。
大した事じゃない。実際淳汰も過去他の男と付き合っている時、聡士と何度もキスをした。キスだけじゃない。それ以上の裸の付き合いもあった。淳汰はそれを浮気だとは微塵も思わなかったし、聡士も恐らく何の後ろめたさも感じていなかっただろう。
つまり、そういう事だ。
大した事じゃない。実際淳汰も過去他の男と付き合っている時、聡士と何度もキスをした。キスだけじゃない。それ以上の裸の付き合いもあった。淳汰はそれを浮気だとは微塵も思わなかったし、聡士も恐らく何の後ろめたさも感じていなかっただろう。
つまり、そういう事だ。
「どした淳汰、疲れてんの?」
聡士が淳汰の横に膝を折ってしゃがみ、淳汰を覗き込んだ。
「いや……」
――何か言えよ聡士。
「飯は?」
「食ってねぇ」
「あ? マジ? 何か食い行く?」
「いや、いい」
食欲がないわけではないと思うが、空腹感がなかった。それを食欲がないと言うのか、と自ら思い至って淳汰は苦笑した。
聡士が淳汰の横に膝を折ってしゃがみ、淳汰を覗き込んだ。
「いや……」
――何か言えよ聡士。
「飯は?」
「食ってねぇ」
「あ? マジ? 何か食い行く?」
「いや、いい」
食欲がないわけではないと思うが、空腹感がなかった。それを食欲がないと言うのか、と自ら思い至って淳汰は苦笑した。
気付いたら、淳汰は自室の壁にもたれて座っていた。二人のキスを見たあのあと、どうやって残りの仕事をこなしたのか、どうやってここまで帰ってきたのか記憶にない。
部屋は明るく、電灯が点いていたが、そのスイッチを入れた記憶も曖昧だ。
部屋は明るく、電灯が点いていたが、そのスイッチを入れた記憶も曖昧だ。