雨がやんだら（７）（R18）

「あんたさ、兄貴にしてもらいたい事してくれるっつったよね。そこまで言うなら……、俺が兄貴にしたかった事……させてよ」
「だから慎治だっつってんだろ……」

　――あーー……、そう。挿れてーのね……。

　いつその気持ちに気付いたのかは分からないが、兄の事をそういう目で見てきたのなら身近にその対象がいた分随分痛い想いをしてきた事だろう。増してや相手は今日結婚式を挙げてしまったノンケなワケで。行きずりの相手にしか打ち明けられないような、想い。そんな想いを抱えて何度一人の夜を過ごしたのだろうか。

　……しょーがねぇなぁ……。ケツはもう長く使ってねんだけど。

　慎治は少し可笑しそうに笑った。

「タオル取ったら、……させてやるよ」

　ほら取れよ、と顎で促され、歩がタオルを取って慎治に手渡す。

　手を拭い終えないうちに、歩が急いた仕種で慎治のスウェットを下着ごとずり下ろしてきた。腰を持ち上げられ、覆い被さるように腰を押しつけられる。さっき射精したばかりの雄は、もう、というよりまだ、その熱さを孕ませその存在を誇示していた。それが何の前置きもなく慎治の後孔に捩じ込まれようとする。慎治は慌てて這いずり歩の下から逃げだした。

「歩お前っ……やり方知ってんなら手順も踏めっつーのっ。俺を殺す気かっ！　つーかこのままじゃお前も痛くて挿れらんねぇってーの」

「あー……そなの？」
「ローションでも使って濡らさねぇと。それでなくてもケツ使うのは、スッゲ久々なんだ……俺の方もちったぁ解せ」
「……わぁったよ」

　歩は口を尖らせて渋々、反抗期の子供のような口調で頷いた。


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