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誰もがきっと、誰かの。(128)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 貴史の手が、生の頬を優しく拭う。

 その手の優しさにふと微笑んで、ほんの少し生より背の高い貴史をそっと見上げた。穏やかに笑む貴史の表情は、朝の光を浴びて眩しく映える。

 思わず、見惚れた。

 生の網膜に焼き付けるようにその笑みを残し、貴史の視線が池に向けられる。生もそれに誘われるように、一緒に池を見た。

「ねぇ生、睡蓮の花言葉、知ってる?」
「ええと……、ごめん、知らない」

 少し申し訳なさそうに答えると、貴史は池に目を馳せたままくすりと笑った。

「『純粋』『清純』」
「へぇ……」
「生、みたいだろ?」
「……え?」
「純粋で、清純」
「まさか……」
「まさかじゃねぇよ。生に触れる前からそう思ってたけど、生に触れても……それは変わらなかった。生はどこもかしこも、純粋で、清純だよ」

 貴史が、再び生を捉える。伸びてきた貴史の手が、頬を撫でた。

「生」
「ん……」
「俺の、側にいて」
「ぁ……、ん」
「側にいて、これからもまた、俺の力となって」
「ん……、うん……僕の方こそ」

 貴史から、力をもらった。

 貴史の力になることができていたことを、知らないまま。

 もしかして、自分はいてもいなくてもいいような存在なんじゃないかとさえ思って萎縮していたあの頃の気持ちが、嘘のように溶けてなくなってゆく。

 きっと、誰もがこうやって、誰かから慰められ、癒やされているのかも知れない。

 誰もがこうやって、誰かの力になることができているのかも知れない。

 与え、与えられ、求め、求められる。

 誰もがきっと、誰かの。

 ――運命の相手、なのかも知れない。

 頬に触れる貴史の手に、手のひらを重ねた。


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パァ! 出たw タイトル=オチw
ほんとあとちょとなんすけど、タイムリミットきますたすいませんアワワ



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