2ntブログ

Sister Moon(4)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 どこにいても「優秀」だった。

 けれども「普通」にはなれない。

 だからと言って、はみ出し者の集まる場所にも馴染めない。

 どこに行けばいいのか、分からなかった。

 家は、裕福な方だ。

 父は、祖父から引き継いだ会計事務所を大きくした。その父からは、当然慎治にその次が託せるものだという思いが伝わってくる。

 「優秀」で「普通」であることと引き換えに保証された将来。

 けれども慎治は父のその望みに、自分は応えることはできないと知っている。そしてまた恐らく、本当の慎治を知れば、父は慎治に思いを託すことを止めるだろう。それどころか慎治を、家の恥とさえ思うに違いなかった。

 幸い慎治には五つ下の弟がいる。家のこと全ては弟の洋樹に任せ、慎治はなるべく早くこの息苦しい家を出るつもりでいた。

 どこにいても感じる、自分は異質だという思い。

 けれどもここに来れば、それを忘れられた。

 わがままや、ガキっぽいと自覚の上やっている言動さえ、包み込まれる。

 マスターが慎治に話すことと言えば軽口ばかりで、優しい言葉や労りの台詞など掛けられた記憶はない。

 それでも何故か、居心地が良かった。

 無言で、行く場所がないならここにいなさいと、言われているような気がした。

 いつの間にか身体に馴染んでしまった煙草。ビールの苦味。

 生き急ぐつもりはないが、大人の特権であるそれらを少しでも早く知れば、その分早く何かが分かるかも知れないと、闇雲に手を出した。

「――おいし?」

 そんな慎治の思いを知る由もないはずのマスターが、ビールを喉に通す慎治をじっと見つめてただ一言、そう聞いた。

「……、……ん」

 慎治は彼から目を逸らすように小さく頷いて、そしてそっと、目を伏せた。



←3へ / 5へ→
←1から読む
歩×慎治



ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
↑ランキング参加中す。よければクリック入魂一押ししてください。
 書く意欲に繋がってます(*´∀`)
携帯からはポイント反映されないことがあるようです(090907現在)
ぜひパソからの一押しお待ちしてます(*´∀`)



青春(*´∀`)


コメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2010/02/21(日) 00:03 | | #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2010/02/21(日) 00:07 | | #[ 編集]
こんなカンジで終始いたしますアセアセ(;´Д`)
>秘密コメ↑Kさん(*´∀`)

こばわ~(*´∀`)今夜もお越しまりがとんございます!

あい~(*´∀`)
カムアウトする前のマ/イノ/リティの葛藤みたいのを
ちょっと含ませてみてるつもりですが
お伝えできてますでしょうかアセアセ(;´Д`)
このあとどんどん慎治らしく
不幸(?)を背負い込む流れになる予定す\(^o^)/

あああありがとうございます。・゚・(ノД`)・゚・。
そうなんすよ私も慎治にダイジョブだよと
言ってやりたいわと思いながらw

あ、あと!弟の洋樹に反応あざす!
慎治に弟がいることは前からの脳内設定にあったんすけど
このたび初めて名前を考えますた(*´∀`)
エヘヘ慎治の弟は一応ノンケでしw
日の目を見せる予定は今のところありませんが
結婚して息子もできる脳内設定でしw
ドレもコレもディープな題材ばっかりで
萌えがあるかどうかでアワワワorz
今やっとりますこのハナシもしかりですが
よろしければお付き合いよろすくおながいします!!
コメまりがとんございますたー!
2010/02/22(月) 00:57 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 

 | Copyright © がっつりBL的。 All rights reserved. | 

 / Template by 無料ブログ テンプレート カスタマイズ