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Sister Moon(6)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 そんな慎治の視線にも怯む様子もなく、深井はにやりと笑ったまま慎治の隣、引き寄せた椅子に腰を下ろした。

 無断で隣に座る深井に苛立ちを露わに、慎治は吸い込んだ煙を深井に向かって吐いてやる。深井は、その煙もただ軽く往なすように、視線だけでその行方を追った。

 その視線を慎治に戻し、深井が再び口を開いた。

「駅で偶然見かけたんですよ。予備校の方に行くかと思ったら、全く逆方向に歩いて行くものですから気になったんです。君がこの店に入るのを見届けたあと、控えていた講義をこなして、それからまた来てみたんです。まだいましたね」

「ストーカーかよ。キモいっつうの」

 彼の笑い方も、話し方も、その行動も。

 何もかもが不快だった。

 その苛立ちが、灰を灰皿に落とす仕草に現れる。

 せわしなく落とされる灰に気づいたのか、マスターが二人に割って入るように顔を覗かせた。

「ちょっとぉ、こちら新顔さんよね? 険悪なのは困るわよぉ」
「全然そんなことないですよ。今日僕、彼に呼ばれたんですから」

 虫酸が走るような嘘をしれっと吐く深井に、マスターが疑うような目を向ける。

「ほんとぉ?」
「ほんとですよ。彼とは先生と元教え子の関係ですよ。……ねぇ、巽君?」

 深井は嫌味なまでの完璧な笑みを浮かべ、慎治に同意を求めた。

 この店で、苗字を明かしたことはない。そのことを知ってか知らずか、深井が敢えて苗字で慎治を呼んだことに、何かしらの暗い意図を感じずにはいられなかった。

 彼の真意が分かるまで、事を荒立てるわけにも行かない。

 慎治もまだ未成年だということを隠して店に通っている手前、年齢をバラされては店にも迷惑が掛かるかもしれない。

「……あぁ。ほんとだよ。俺が呼んだ」

 訝しそうに慎治を見るマスターに、慎治は軽く首を竦めてみせた。



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歩×慎治



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