「だったら、どうだってんだよ」
それの何が悪いのか。
この店をそんな下衆な言われ方で表現されたくなかったが、深井の言葉通り、この店でも確かに気が合えば、そういった行為にも至る客は多くいる。ただそれが、相手が同性だというだけで、異性間で行われることと何ら変わりない。
それの何が悪いのか。
この店をそんな下衆な言われ方で表現されたくなかったが、深井の言葉通り、この店でも確かに気が合えば、そういった行為にも至る客は多くいる。ただそれが、相手が同性だというだけで、異性間で行われることと何ら変わりない。
けれどもそれを、こんな奴に分かってもらおうと説明するのは時間と労力の無駄だろう。
一言返して慎治はただ、深井を睨み付けた。深井は変わらず薄い笑みを浮かべたまま、慎治の視線をゆったりと受け止めた。
「ご両親が知ったら、どう思われるんでしょうね」
――チクるつもりなのか。
深井が少しずつ、核心へと近づいてくる。
何が目的なのか。
金? それとも――
いずれにしても、恐れるものは何もない。
「――知られたって、全然構わねぇよ」
自分がゲイだということはもちろん、予備校をサボっていることさえ両親には言っていなかったが、この際知られたとしても構わない。予定より少し早いが、むしろ家を出るきっかけとして良い機会だとさえ言っていい。
深井の余裕も通用しないと言うように、慎治も薄く笑い返してみせた。
「全ては覚悟の上、というわけですか。さすがですね」
「んなご大層なモンでもねぇよ」
深井が再び愉しそうな笑みで、小さく頷く。
「では、これはどうでしょう。君がいつも火曜日に取っている講義。いつも一緒に来ている生徒がいますね。お友達ですか」
今日木曜は一人だが、火曜日はいつもクラスメイトの村上と一緒に予備校の講義を受けている。
村上は、慎治の親友であり、性指向を同じくする仲間であり、そして、慎治が淡く恋する相手だった。
その村上の名を出されて初めて、背に冷たい汗が流れるのを感じた。
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何が目的なのか。
金? それとも――
いずれにしても、恐れるものは何もない。
「――知られたって、全然構わねぇよ」
自分がゲイだということはもちろん、予備校をサボっていることさえ両親には言っていなかったが、この際知られたとしても構わない。予定より少し早いが、むしろ家を出るきっかけとして良い機会だとさえ言っていい。
深井の余裕も通用しないと言うように、慎治も薄く笑い返してみせた。
「全ては覚悟の上、というわけですか。さすがですね」
「んなご大層なモンでもねぇよ」
深井が再び愉しそうな笑みで、小さく頷く。
「では、これはどうでしょう。君がいつも火曜日に取っている講義。いつも一緒に来ている生徒がいますね。お友達ですか」
今日木曜は一人だが、火曜日はいつもクラスメイトの村上と一緒に予備校の講義を受けている。
村上は、慎治の親友であり、性指向を同じくする仲間であり、そして、慎治が淡く恋する相手だった。
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