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Sister Moon(28)(R18)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「なぜ……そんなことが言えるんですか」
「じゃなきゃ、アンタの授業に、あんなに人集まってねぇ、だろ」

 予備校の講師は人気商売だ。

 どういった経緯で深井が予備校で教鞭を執るに至ったかは分からないが、深井の講義はどれも定員一杯で、来期はおそらく大講義室での授業になるだろうと噂されているほどだ。村上に誘われて、慎治も夏期講習で彼の講義を受けたことがあったが、その授業内容の分かりやすさは慎治も感じたところだった。

 そういった意味では、深井は多くの人間から必要とされる立場にあると言えるだろう。

 その彼に、こんな心の闇が潜んでいることを、誰が想像するだろう。

「俺は、結局誰からも、必要とされてねぇし、っ、その事実と向き合うことから逃げてるだけで、何一つ楽しんでなんか、ねぇよ」
「嘘を言うなっ、君は、好きなように生きてるじゃないかっ」

 苦しい呼吸から、言葉を絞り出す。けれども深井は慎治の答えに納得できないと言うかのように、また蝋燭を傾けた。

 その痛みの分だけ雄は張り詰め、身体は跳ねて鎖ががしゃ、と鳴る。

「ッ、ァっ、確かに、こうやれば楽しんじゃねぇかって、思うことをやってみてはいるけど」

 それはさぞ、傍目には楽しそうに映るだろう。

 ――だけど本当は、違う。

「それを実際やってみて楽しいかどうかは、っ、アンタだって分かるだろ、今、楽しいかよ? 思ってた通りに俺をやって、満たされてるかよ?」

 形ばがりの愉しさを追ったところで、あとに残るのは虚しさばかりだと。

 満たされるということは、そんなところで得られるものではないということを。

 ――アンタも、分かるだろ? アンタが言う通り、アンタが俺と同じだってんなら。

 熱に浮かされた目で、深井を問い詰めた。





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歩×慎治


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