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じゃじゃ馬ならし(29)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 特に何のこだわりも感じさせない、ごくありきたりなスチール製の本棚。

 ざっと見たところ、剣道関連の雑誌やスポーツ心理学などの書物が並び、いかにもナシノの社員らしいラインナップだ。

 上から順に目でタイトルをなぞってゆくと、その中段の端の方に、書物の置かれていない空洞があることに気づいた。

 よく見るとそこに、写真立てが伏せて置かれていた。

 飾り立てた様子を全く感じさせないこの部屋にある、おそらく唯一の写真立て。部屋の装飾のためにあるとは思えないから、何らかの実用――要するに、中身が空だとは到底考えられない。

 ずくん、と胸が鼓動する。

 この写真立ての中には一体何が飾られているのだろう。

 伏せられていることに意味はあるのだろうか。

 前の男か。いやもしかしたら今も続いている男か。いやつい今しがた、大敬を想っていると、強引な口説き方をしたばかりなのにそんなはずは、と次々浮かぶ考えを自ら否定する。

 緊張に僅かに汗ばんだ手を、そっと写真立てに差し伸べる。耳を澄ませ、シャワーの音を今一度確認した。風呂場からは変わらず水音が聞こえてくる。

 ごくりと、息を飲んだ。

 写真立てをそっと起こし、中を覗き込む。

 そこには山中と、その隣で穏やかに微笑む一人の女性、そしてその女性の腕の中に抱かれる、まだ幼い女の子が写っていた。

 場所はどこかの海辺のようだ。いつもの色気は少し抑え気味に、どこかぎこちないような微笑を浮かべる山中に対し、春先なのだろうか、淡い暖色のカーディガンを羽織る女性はとてもしとやかそうで、その淡い色そのままの優しさを感じさせる。

 春らしいワンピースを着た女の子は何歳(いくつ)くらいなのだろうか、普段子供と接することがまるでない大敬にはその女の子は二歳くらいにも見え、あるいは四歳だと言われればそうなんだ、と容易に頷いてしまうだろう、そんな年齢だった。


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参考:貴史×生


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ちょと緊迫w
でもたしか大敬全裸w



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