ゆっくりと去ってゆく唇。
うつろな目で、その唇を見送った。
その表情を山中はにんまりと見つめ、名残惜しげに濡れた唇にもう一度、触れるだけのキスを落とした。
うつろな目で、その唇を見送った。
その表情を山中はにんまりと見つめ、名残惜しげに濡れた唇にもう一度、触れるだけのキスを落とした。
「ん、……」
「――まぁ、考えとけよ。シャワー、行ってくる。……一緒にイくか? それはそれは丁寧に洗ってやるよ?」
立ち上がり、山中がなんとも意味ありげなイントネーションで、大敬を誘う。
その言葉にはっと我に返り、大敬は噛みつくように言葉を返した。
「行っかねぇよっ。なんだよそのエロい言い方っ。どんだけ元気なんだっつうの」
手元にあった枕を山中目掛けて投げつけるも、山中は愉しそうに笑いながらそれを避け、そして扉の向こうへと消えていった。
しばらく聞き耳を立てていたが、やがて微かな水音が聞こえてくると、本当にシャワーを浴びに行ったのかと拍子抜けしたように、大敬はどさりと身体をベッドに預けた。
ふぅ、と一息。深く息を吐いてみる。
山中の存在を失くし、ぽっかりと穴の開いたような部屋。
そこはしんと静まりかえり、僅かな寂寥感を大敬に抱かせる。
「あーもーっ、クソっ……っ」
その静けさを破るように、無理やり大きな声で毒づいてみる。自ら発した声は、壁に反射して全部大敬の元へと返ってきた。
「……帰るか」
半身を起こし、部屋を見回した。
部屋の端に、ごくシンプルな造りの本棚が置かれている。山中はどんな本を読むのだろうかと、あるいはエロ本の一冊も出てこないだろうか、出てきたら弱みのひとつも握れるかも知れないと、大敬はごく軽い気持ちでベッドから足を下ろし、その棚へと近付いた。
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ふぅ、と一息。深く息を吐いてみる。
山中の存在を失くし、ぽっかりと穴の開いたような部屋。
そこはしんと静まりかえり、僅かな寂寥感を大敬に抱かせる。
「あーもーっ、クソっ……っ」
その静けさを破るように、無理やり大きな声で毒づいてみる。自ら発した声は、壁に反射して全部大敬の元へと返ってきた。
「……帰るか」
半身を起こし、部屋を見回した。
部屋の端に、ごくシンプルな造りの本棚が置かれている。山中はどんな本を読むのだろうかと、あるいはエロ本の一冊も出てこないだろうか、出てきたら弱みのひとつも握れるかも知れないと、大敬はごく軽い気持ちでベッドから足を下ろし、その棚へと近付いた。
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