じゃじゃ馬ならし（32）

　今回大口で受注した商品は、あるテレビ局が行う大規模なイベントで使用するウェアだった。

　スタッフ、参加者の両者全員が着用するそれを、イベントのスポンサーでもあるスポーツＤが提供し、またナシノ側も大量受注に加えて宣伝効果もあるということで安価で卸すことになっている。商品は海外で製造され、直接スポーツＤに来週には納品される手はずとなっていた。

　ウェアを作る過程の最初の段階である織りの部分で不良が出ると、そのロット全てが商品として使用できなくなる。商品の品質を守るためには必要不可欠な規則でもあった。

　ただ、今納品が遅れると、スポーツＤだけでなく、ウェアにイベントやスポンサーのロゴのプリントを施す予定になっている印刷会社やイベント関係の制作会社など、多方面に迷惑を生じさせることになってしまう。イベントの開催日は決まっている。もちろん、変更などできるはずもない。

　ナシノにとってだけでなく、スポンサーとしてのスポーツＤにとっても会社の死活問題にもなりかねない忌々（ゆゆ）しき事態だ。

　大敬は緊張した面持ちで、受話器を握り直した。

「納品はどのくらい遅れそうなんですか？」
『そうですねぇ……一週間はかからない、と思います』
「一週間……キツい、すね……」

　そもそも納品予定日がイベント開催日に間に合う限界に近い日程で組まれていた。

　どうすればいいのだろうか。

　絶句して、ちらりと上司の席に視線を遣った。


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参考：貴史×生



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またまたマタお久しぶりですｗ
このまま月イチの更新になってしまわないよう
がんがて次に取り掛かりまつアセアセ