2ntブログ

愛の夢 第一〇〇三番(3)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 その時ふと、空気が和らいだ。

「――悪ぃ。お前に感染(うつ)したくねぇってだけなんだけどな、俺だって……、……」

 慎治さんはどんな表情(かお)をしてるんだろう。

 言い淀んだ慎治さんの様子が気になって、視線を戻した。目が合うと、慎治さんはさっきまでの厳しい表情を少し緩めて、目元を笑みに細めた。


 そうか。慎治さんだって、俺と一緒に寝られないのは寂しいとか、感じてるんだよね。

 ただ、俺に感染したくないって思いの方が強くて、そしてきっと、もし俺に感染ってしまったら、慎治さんの後悔はきっと計り知れないものになるんだろう。

 だよね? と目で問うた。

 そしたら慎治さんは、そうだよ、って答えるみたいにごく小さく頷いた。

「――頑張って、早く治すから」

 言い聞かせるような、いつもよりゆっくりとした話し方。

 俺の大好きな慎治さんの声が、今日は少し掠れてる。そんな些細な変化だけど、慎治さんの不調は、俺の胸を締め付ける。

「……うん」

 ようやく俺も、小さく頷いた。

 駄々をこねるようなこと、いつまでもしていられない。慎治さんを少しでも早く横にならせてあげて、そして俺のできることをした方がいい。頼まれた買い物と、それから他に、熱下げるようなものとか、買いに行かねえと。

「けど、もし用あってこの部屋入る時は、必ずマスク着用な」

「……、……分かった」

 今度はちゃんと、しっかり頷いた。

 そしたら慎治さんの手が伸びてきて、くしゃりと俺の髪を撫でた。

 頭に乗った慎治さんの手はやっぱり熱くて、俺は本当に早く良くなって欲しいと、心から願った。 
 


←2へ / →4へ
←1から読む

歩×慎治


ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
↑ランキング参加中す。よければクリック入魂一押ししてください。
 書く意欲に繋がってます(*´∀`)
携帯からはポイント反映されないことがあるようです(090907現在)
ぜひパソからの一押しお待ちしてます(*´∀`)


コメント
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 

 | Copyright © がっつりBL的。 All rights reserved. | 

 / Template by 無料ブログ テンプレート カスタマイズ