その時ふと、空気が和らいだ。
「――悪ぃ。お前に感染(うつ)したくねぇってだけなんだけどな、俺だって……、……」
慎治さんはどんな表情(かお)をしてるんだろう。
言い淀んだ慎治さんの様子が気になって、視線を戻した。目が合うと、慎治さんはさっきまでの厳しい表情を少し緩めて、目元を笑みに細めた。
「――悪ぃ。お前に感染(うつ)したくねぇってだけなんだけどな、俺だって……、……」
慎治さんはどんな表情(かお)をしてるんだろう。
言い淀んだ慎治さんの様子が気になって、視線を戻した。目が合うと、慎治さんはさっきまでの厳しい表情を少し緩めて、目元を笑みに細めた。
そうか。慎治さんだって、俺と一緒に寝られないのは寂しいとか、感じてるんだよね。
ただ、俺に感染したくないって思いの方が強くて、そしてきっと、もし俺に感染ってしまったら、慎治さんの後悔はきっと計り知れないものになるんだろう。
だよね? と目で問うた。
そしたら慎治さんは、そうだよ、って答えるみたいにごく小さく頷いた。
「――頑張って、早く治すから」
言い聞かせるような、いつもよりゆっくりとした話し方。
俺の大好きな慎治さんの声が、今日は少し掠れてる。そんな些細な変化だけど、慎治さんの不調は、俺の胸を締め付ける。
「……うん」
ようやく俺も、小さく頷いた。
駄々をこねるようなこと、いつまでもしていられない。慎治さんを少しでも早く横にならせてあげて、そして俺のできることをした方がいい。頼まれた買い物と、それから他に、熱下げるようなものとか、買いに行かねえと。
「けど、もし用あってこの部屋入る時は、必ずマスク着用な」
「……、……分かった」
今度はちゃんと、しっかり頷いた。
そしたら慎治さんの手が伸びてきて、くしゃりと俺の髪を撫でた。
頭に乗った慎治さんの手はやっぱり熱くて、俺は本当に早く良くなって欲しいと、心から願った。
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ただ、俺に感染したくないって思いの方が強くて、そしてきっと、もし俺に感染ってしまったら、慎治さんの後悔はきっと計り知れないものになるんだろう。
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俺の大好きな慎治さんの声が、今日は少し掠れてる。そんな些細な変化だけど、慎治さんの不調は、俺の胸を締め付ける。
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駄々をこねるようなこと、いつまでもしていられない。慎治さんを少しでも早く横にならせてあげて、そして俺のできることをした方がいい。頼まれた買い物と、それから他に、熱下げるようなものとか、買いに行かねえと。
「けど、もし用あってこの部屋入る時は、必ずマスク着用な」
「……、……分かった」
今度はちゃんと、しっかり頷いた。
そしたら慎治さんの手が伸びてきて、くしゃりと俺の髪を撫でた。
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