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雨がやんだら(18)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 マンションに戻ると、先に中に入った歩が振り返り、慎治は玄関のドアを背に逃げ場ない形で挟まれた。年齢差に反して体格差はほとんどなく、同じ高さの目線で見据えられる。

「……なんだよ」
「……なんだよ?」

 歩が焦れたように目を眇めて聞き返した。


 ――そうだった。俺が歩に話があると、せっかくの休み潰してまで歩の学校まで行ったんだった。

「歩……」

 ――お前が、愛しい。

 年上である事。歩とだとウケに回らなければいけなくなる事。先日の自分の言葉。それらが絡み合ってこの期に及んでまだ邪魔をする。どうしても言うべき事が喉から先に出てこない。

「慎治さんあのさ」

 歩に間近で話しかけられる。見る者によっては喧嘩腰に睨み合っているように見えるだろう体勢。いや、歩はもしかしたらそのつもりなのかも知れない。

「俺が他の人とヤって、それでもあんたの事が好きなら、信じてくれんの?」
「……」

 血の気が引くのが自分でも分かった。歩はあの時の言葉を、きちんと受け止めて自分で考えたんだろう。それは歩を傷付けただけでなく、自分まで傷付ける言葉だったんだと、慎治は今更ながらに気が付いた。

「もうやったのかよ……?」
「え? 何言って……」
「もう誰か他のヤツとヤったのか、っつってんだよ」
「やってねーよマジでヤれっつってんの慎治さん?」

 歩に両腕を掴まれる。挑むような目で覗き込まれる。その目に煽られて、引いた血の気が逆流した。

「今更引っ込みつくかよバカヤロヤるならさっさとヤって来いよイイトコ紹介してやろーか、あぁ?」
「分っかんねぇよ慎治さん俺の事どう思ってんの?」

 怒鳴る慎治に歩が怒鳴り返し、掴んだ腕を強く握って慎治を揺する。慎治は腕を振ってその手を振り払った。

「うっせぇ俺はお前が好きだよお前に俺の元から去られちまう事考えたらキツくてそれならもういっそ先に俺から去らせておこうって思うくらいになっ。どーよ俺痛ぇだろっ? お前が望むことなら何でも叶えてやりたいと思うしお前に求められたら俺は何も拒めねぇよ。わぁったかバカ。……んな事……十も年下のお前に言っちまうくらいに……俺は……」

 不意に抱きしめられ、はっとする。滾っていた血が、ゆっくりと元の速さに戻ってゆく。

「お前のことが気になって……可愛くて、しょうがねんだよ」

 言い終わるとゆっくり深呼吸をして、慎治は歩の背に腕を回した。


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コメント
あぁぁぁぁぁぁっあぁぁ
おまえら纏めて抱きしめてやる!
…と心から思った(*´Д`)~з

キュン<ギュン です

あぁ、高校生に突っ込まれる妙齢の男…
しかも惚れてる…しかもホンモノ…
ロマンだ…ロマンが詰まってる…
これはロマンですベラさん(;´Д`
2007/11/25(日) 17:37 | URL | ハナ #ZJmJft5I[ 編集]
追い詰められてキレたのは
実は慎チンでなくこのワタス…
エイヤー!でうぷってしまいましたが
ギュンっていただけたなら
嬉しい…(´Д⊂ヽ
以前よりホンモノ好きに拍車がかかってて
困ってます\(^o^)/
明日からエロですが
遅筆故更新滞りそうですwwwww
どうぞ最後までお付き合いくだちぃ
2007/11/25(日) 22:48 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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