どうしてこんなにトロ臭い奴が入部してきたんだ、と三垣はやっぱり思う。コピーを取りに行かせれば、必要部数の倍の失敗コピーを携えて半泣きで戻ってくる。スクープ狙いの尾行では、気付いたら姿を消し、どこへ行ったかと辺りを探せばカツ上げされている。まったくそんな要領の悪さでは、この伝統ある新聞部の次世代を担っていけない。
「新入部員にコピー代だけで生徒会に随分貢献してくれている子がいるみたいだね」
先日インタビューで面会した生徒会長に嫌味を言われる始末。経費のことを考えると頭が痛い。
「新入部員にコピー代だけで生徒会に随分貢献してくれている子がいるみたいだね」
先日インタビューで面会した生徒会長に嫌味を言われる始末。経費のことを考えると頭が痛い。
新聞部の新学期第一回目の部会に、ぽちーんと一人、座っていた新入生。先月まで中学生だったのだから、幼く見えるのは仕方ないかもしれないけれど、それにしても幼く見えすぎる。まるで小学生だ。小ぶりな頭に透明な肌、長めの睫に色素の薄い髪と目。極めつけは右目の側にある小さな泣きぼくろ。名は村椿 一(はじめ)といった。
「入学式号外を読んで感動して、新聞部に入ってみたいと思いました」
聞かれた入部理由に、俯き加減のはにかんだ笑顔で村椿がそう答えると、その姿に部会に出席していた一同が、一斉に「おおっ!」と色めいた。部員たちは即村椿が気に入った様子だ。
感動、って。号外は生徒会の検閲を受けないからいつも色物の記事を掲載する。たしか入学式に出した号外は、三垣が書いた『最新クラブ情報』だったような…。あの記事のどこに感動したのか。しかし、あの容姿じゃ、絶対クラブ潜入レポートは書けないな。まずクラブに入れてもらえないだろう。
「ツーバーキー!! お前、いい加減、コピーくらいまともに取れる様になってくれ。次から失敗分は自腹切らすぞ、おら」
今日も沢山の失敗コピーを携えて戻ってきた村椿に三垣は声高に叫ぶ。
「んも~ぶっちょ~。何もそんな言い方しなくったっていいじゃん。ツバキちゃんだって、わざとやってる訳じゃないんだしさー、なあ、ツバキちゃん?」
周りがすっかりツバキファンになってしまっている為、今じゃ三垣はすっかり悪者扱いだ。
「うるさい!」
そんなギャラリーを一喝して三垣はまたパソコンに向かう。
まったく。このところのツバキの失敗コピー代は、皆には内緒でこの俺様がこっそり自腹で払ってやってるんだ。無駄な部費を使う余裕なんて無いんだからな。人の気も知らないで、皆好き勝手言いやがって。
ついついキーボードを叩く手にも力が入り、がしょがしょとキーボードが悲鳴をあげる。
2へ→
↓よければポチっと押してクダサイ
「入学式号外を読んで感動して、新聞部に入ってみたいと思いました」
聞かれた入部理由に、俯き加減のはにかんだ笑顔で村椿がそう答えると、その姿に部会に出席していた一同が、一斉に「おおっ!」と色めいた。部員たちは即村椿が気に入った様子だ。
感動、って。号外は生徒会の検閲を受けないからいつも色物の記事を掲載する。たしか入学式に出した号外は、三垣が書いた『最新クラブ情報』だったような…。あの記事のどこに感動したのか。しかし、あの容姿じゃ、絶対クラブ潜入レポートは書けないな。まずクラブに入れてもらえないだろう。
「ツーバーキー!! お前、いい加減、コピーくらいまともに取れる様になってくれ。次から失敗分は自腹切らすぞ、おら」
今日も沢山の失敗コピーを携えて戻ってきた村椿に三垣は声高に叫ぶ。
「んも~ぶっちょ~。何もそんな言い方しなくったっていいじゃん。ツバキちゃんだって、わざとやってる訳じゃないんだしさー、なあ、ツバキちゃん?」
周りがすっかりツバキファンになってしまっている為、今じゃ三垣はすっかり悪者扱いだ。
「うるさい!」
そんなギャラリーを一喝して三垣はまたパソコンに向かう。
まったく。このところのツバキの失敗コピー代は、皆には内緒でこの俺様がこっそり自腹で払ってやってるんだ。無駄な部費を使う余裕なんて無いんだからな。人の気も知らないで、皆好き勝手言いやがって。
ついついキーボードを叩く手にも力が入り、がしょがしょとキーボードが悲鳴をあげる。
2へ→
↓よければポチっと押してクダサイ
この記事のトラックバックURL
http://gerberahybridblog.blog.2nt.com/tb.php/12-ff45adf0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック