好きすきスキと言わせたい（17）

　抱き締めた肩越し、榛名が一度鼻を啜った。それから暫く置いて、バカヤロ、と小さく呟いて怜史の肩に顎を乗せた。

　耳に届いた榛名の思いがけない言葉に、怜史は愕然とした。

「榛名さん、……俺んちに行ってたの……？　そんなの、もっと早く言ってくれてれば……。あーどうしよ俺……。あんな事言っちゃって……あんな事しちまって、ほんとごめんなさい。許して、榛名さん……」

　疑う事しかしなかった。榛名に対する申し訳なさと恋人を信じる事ができなかった不甲斐なさに打ちのめされる。ガックリと、うなだれて長い溜め息を一つ吐いた。榛名がそっと、怜史の背に腕を回した。

「俺の事、好き？」

　怜史を試すように、故意にほんの少し棘を含ませた口調で榛名が訊いた。

「好きですスゲー好きです」

　ふと榛名を包む空気が和らいだ。榛名の表情が綻んだのが分かる。

「……もっと」

　榛名が甘えるように頭を怜史に預けてきた。怜史がそれに応えて少し横を向き、耳朶にキスをする。

「榛名さん、好きです」
「うん」
「スゲー好きです」
「……うん」

　榛名の声が震える。榛名の吐息に官能の色が混じり始めた。

「好きですホントごめんなさい榛名さん。……したいです」
「……うん。さっきみたいなのは、もうヤだからね」
「うん、ちゃんとする。……させて」
「……うん、いいよ」

　吐息混じりに頷いて、榛名が怜史のシャツをたくし上げた。




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