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ただ、それだけ。(2)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「お疲れ様です」
「お疲れ様。今日はありがとう」

 野田の持つジョッキに、穂積の方からガチリとジョッキを合わせにいった。



 初めて来た居酒屋。机上に置かれたお品書きの他に、もう色が黄色く変わり始めている紙に一品ずつ書かれた手書きのメニューが壁にはたくさん貼られている。

 座り直す度ギシギシとなる椅子。少しベトついたテーブル。
 
 野田がここで良いと言ったとはいえ、今夜宿泊するホテルの最寄りの店を安直に選んでしまった穂積は、せっかく野田と一緒なのにもう少し店を吟味すれば良かったかと少し後悔した。

 この清潔そうな男にはもう少し小綺麗な――料亭までとは言わないが、端々まで細やかに心配りが行き届いた小料理屋のような店が似合いそうだと思った。けれども本人はさして気に留めた様子もなく、出されたお絞りで手を拭きながら、何を注文するか思案した様子で店内を見渡している。
 
 今回穂積が受注し担当となったのは、ある地方都市の再開発地区に新しく作られる大型小売店の立体駐車場。その設計をしたのが野田だった。近年の気運に則って、排気ガスを少しでも浄化させて屋外へ出すための最新設備を備え、それに加えて僅かだが緑地にもスペースを割き、換気口、エレベーター等、駐車場と言っても小さなビル一つ建設するくらいの規模にはなった。数名でチームが作られ、野田はそのチーフだった。
 
 今日は先方と、技術側である野田を交えての初のミーティングだったが、営業である穂積は相手と野田との橋渡しのみで、一緒に出張に来たものの、先方への説明はほぼ全て野田一人でこなした。

 設計に十年携わった自信も感じられる、ソツなく流れるような説明。高くもなく低くもない、心地よく響く声には説得力がある。ミーティングの間、穂積はただうっとりと、野田の声に耳を傾けていた。




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(゚∀゚)アヒャ
某スーパーゼネコンの受付に居た事も
某中堅ゼネコンでダンゴーの片棒を担いだ事も
過去にはありますがこの話を書くに当たって
何の役にも立っていませんorz
ゼネコン業界詳しい方絶対許せない間違いあればご指摘こっそりヨロですw




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