「せんせ、家着いたよ。鍵、出して」
「ん? んん」
「かーぎ」
ポケットをごそごそと探って出てきた鍵を要は自らおぼつかない手つきで鍵穴に差し込んだ。がちゃがちゃと音を立てるも、酔いのせいでなかなか上手くいかない。その間も要の体重を支える直登の視界で、うっすら紅く染まった要の耳がゆらゆら揺れる。
「ん? んん」
「かーぎ」
ポケットをごそごそと探って出てきた鍵を要は自らおぼつかない手つきで鍵穴に差し込んだ。がちゃがちゃと音を立てるも、酔いのせいでなかなか上手くいかない。その間も要の体重を支える直登の視界で、うっすら紅く染まった要の耳がゆらゆら揺れる。
ここまで連れ帰った世話のお礼とばかりに、直登はその耳朶を口に含めて甘噛みした。
「ぅひゃっ!」
という要の声と共にがちゃりと鍵が開く。扉を開け、部屋の中に入ると同時に要が今度は泣き出した。
「こらっ! ヨコシマな行為は許さないんらからな! 今度のレンアイは俺は安売りしねぇって決めてんらっ! 大人の余裕でゆっくり進めるんらっつーの! 直登、年下のくせに、生意気」
と言ってふえーんとへたり込む。
「わ、わわ、すいません、つい……。だって先生、すっげ可愛いんだもん」
あやす様に背中をぽんぽんとたたいて直登は要を抱きしめた。
「……」
急に要が黙った。不審に思って見てみると、要は既に規則的に肩を上下させ呼吸をしている。
「せんせ? ……寝てんの?」
――かなり酒癖が悪い。だが相当可愛い。この調子ではきっと過去、酒の席でかなり色々ちょっかいを出されて来たのではないか。
そう思うと直登の腹の底で小さな嫉妬がぱしゅっと火花を飛ばした。耐え切れずにちゅっと音をさせて要のこめかみにキスをすると、ちょっと考え込んだ。目には見えない悪魔の鉤付き尻尾をゆらゆらさせて、直登は独りごちた。
「こんなに酒癖の悪い奴は、おしおきだ」
「痛ってえ…」
重い頭をさすりながら要は目を開けた。昨夜は少し飲みすぎたな。……ていうか記憶が、無い。
血の気の引く思いで辺りを見回すと、そこは見慣れた自分の部屋だった。
「……あ、ちゃんと自分で戻ったんだ。良かった……」
安堵し、今日は土曜日だからもう一眠り、とごそごそと寝返りをうつ。体を横に向けるとだがそこには男が一人。優しい微笑を要に向け、隣で要に体を沿わせるように横になっていた。顔面蒼白になりながら、昨夜直登と一緒に飲みに行った事を思い出す。
「おはよ。せんせ」
直登が挨拶し要の額にキスをする。
「……!」
また血の引く思いをしてがばっと要は上体を起こした。慌てて体を触る。何も着ていない。下半身にもだ。
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↓よければポチっと押してクダサイ
「ぅひゃっ!」
という要の声と共にがちゃりと鍵が開く。扉を開け、部屋の中に入ると同時に要が今度は泣き出した。
「こらっ! ヨコシマな行為は許さないんらからな! 今度のレンアイは俺は安売りしねぇって決めてんらっ! 大人の余裕でゆっくり進めるんらっつーの! 直登、年下のくせに、生意気」
と言ってふえーんとへたり込む。
「わ、わわ、すいません、つい……。だって先生、すっげ可愛いんだもん」
あやす様に背中をぽんぽんとたたいて直登は要を抱きしめた。
「……」
急に要が黙った。不審に思って見てみると、要は既に規則的に肩を上下させ呼吸をしている。
「せんせ? ……寝てんの?」
――かなり酒癖が悪い。だが相当可愛い。この調子ではきっと過去、酒の席でかなり色々ちょっかいを出されて来たのではないか。
そう思うと直登の腹の底で小さな嫉妬がぱしゅっと火花を飛ばした。耐え切れずにちゅっと音をさせて要のこめかみにキスをすると、ちょっと考え込んだ。目には見えない悪魔の鉤付き尻尾をゆらゆらさせて、直登は独りごちた。
「こんなに酒癖の悪い奴は、おしおきだ」
「痛ってえ…」
重い頭をさすりながら要は目を開けた。昨夜は少し飲みすぎたな。……ていうか記憶が、無い。
血の気の引く思いで辺りを見回すと、そこは見慣れた自分の部屋だった。
「……あ、ちゃんと自分で戻ったんだ。良かった……」
安堵し、今日は土曜日だからもう一眠り、とごそごそと寝返りをうつ。体を横に向けるとだがそこには男が一人。優しい微笑を要に向け、隣で要に体を沿わせるように横になっていた。顔面蒼白になりながら、昨夜直登と一緒に飲みに行った事を思い出す。
「おはよ。せんせ」
直登が挨拶し要の額にキスをする。
「……!」
また血の引く思いをしてがばっと要は上体を起こした。慌てて体を触る。何も着ていない。下半身にもだ。
3へ→
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コメント
今回の要の台詞に出てくる
「安売りしない」なんですが
最初「値打ちこくんだからなっ」みたいなのにしてたんです。
このたびアップするにあたってはたと気づいて
ぐぐってみたんです
ちょwwwwwwこれって関西弁wwwww
(1)の「余裕見せてた」も「余裕かましてた」にしてたんです
標準語ムズカシスwwwwww
「安売りしない」なんですが
最初「値打ちこくんだからなっ」みたいなのにしてたんです。
このたびアップするにあたってはたと気づいて
ぐぐってみたんです
ちょwwwwwwこれって関西弁wwwww
(1)の「余裕見せてた」も「余裕かましてた」にしてたんです
標準語ムズカシスwwwwww
ベラ様の自コメに受けた^0^
いやー、うちの母が、「余裕かまして」を使うんですね、日常的に。
妹が、ちょっとワルぶって下々の者が使う言葉を、わざと親の前で使ってみせたのを、ふつーの用法だと思ったらしくて。
「露」が「つく」のではなく「置く」ように、「香」は「嗅ぐ」のではなく「聞く」ように、「余裕」は「見せる」ものではなく「かます」ものなのだと、母の言語体系には、組み込まれてしまったようなのです。
そして、母は、妹がもうそんな言葉遣いを馬鹿らしくなってしなくなった今でさえ、ごくごくまじめな文脈で、「それくらいのことは、余裕かましてやらなくちゃ」などと、平気で申します。
まあ・・・もうあの年で、「目上の人」に気を遣うことも、あんまりないかもしれないけれど、内裏の園遊会とか晩餐会とかにご招待を受けたときには、陛下の御前で「余裕かます」のだけはやめてくださいませね、おたあさま。
いやー、うちの母が、「余裕かまして」を使うんですね、日常的に。
妹が、ちょっとワルぶって下々の者が使う言葉を、わざと親の前で使ってみせたのを、ふつーの用法だと思ったらしくて。
「露」が「つく」のではなく「置く」ように、「香」は「嗅ぐ」のではなく「聞く」ように、「余裕」は「見せる」ものではなく「かます」ものなのだと、母の言語体系には、組み込まれてしまったようなのです。
そして、母は、妹がもうそんな言葉遣いを馬鹿らしくなってしなくなった今でさえ、ごくごくまじめな文脈で、「それくらいのことは、余裕かましてやらなくちゃ」などと、平気で申します。
まあ・・・もうあの年で、「目上の人」に気を遣うことも、あんまりないかもしれないけれど、内裏の園遊会とか晩餐会とかにご招待を受けたときには、陛下の御前で「余裕かます」のだけはやめてくださいませね、おたあさま。
2007/11/08(木) 13:01 | URL | 平和堂書店 #-[ 編集]
うはwwwwアテシ普通に値打ちこく、余裕かます、使っとりますがなwwwww
ああでもそういえば母の世代では使ってないような気も…?
そんな私もサスガに茶ぁシバくは言いませんwww
内裏の園遊会とか晩餐会とか陛下って何でぃすか~?!(汗)
平和堂書店さんのおたあたまは何者なのでぃすか~?
ちょっとドキドキしてきましたがなwwwww
ああでもそういえば母の世代では使ってないような気も…?
そんな私もサスガに茶ぁシバくは言いませんwww
内裏の園遊会とか晩餐会とか陛下って何でぃすか~?!(汗)
平和堂書店さんのおたあたまは何者なのでぃすか~?
ちょっとドキドキしてきましたがなwwwww
わはは嘘嘘。
関西人やのにこんなボケにまともに突っ込めへんとは。
「そんなことでは、あたくしの関西魂には勝てなくてよ。お立ちなさい、ベラ!!(お蝶夫人)」
関西人やのにこんなボケにまともに突っ込めへんとは。
「そんなことでは、あたくしの関西魂には勝てなくてよ。お立ちなさい、ベラ!!(お蝶夫人)」
2007/11/08(木) 22:35 | URL | 平和堂書店 #-[ 編集]
わ、しまった釣られた~~www
| /l、 ??
| (゚_ 。 7 ツンツン
し⊂、 ~ヽ
しf_, )~
| /l、 ??
| (゚_ 。 7 ツンツン
し⊂、 ~ヽ
しf_, )~
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