(これはマズいな……)
啓輔はすべすべとした感触をもろに感じて困った顔をして赤面した。
啓輔の手が触れているのは、足。良充の、ナマ足。何てったって今日はぴーかん天気の青空のもとの体育祭。そして種目はやっぱり「騎馬戦」だった。
啓輔はすべすべとした感触をもろに感じて困った顔をして赤面した。
啓輔の手が触れているのは、足。良充の、ナマ足。何てったって今日はぴーかん天気の青空のもとの体育祭。そして種目はやっぱり「騎馬戦」だった。
出場種目を決めるホームルームで良充は我先にと手を挙げた。
「オレ、騎馬戦! 上に乗るのん、やりたいっ!」
啓輔は続いて名乗りをあげるか、一瞬躊躇した。
不用意に良充に触れたら、えらいことになってしまうかもしれん。
啓輔が考え込んでいると、「あ~、おれも騎馬戦~」と後ろの方から声がした。振り向くと、いつも何事にもダルそうにしている佐藤が手を挙げていた。佐藤は啓輔とふと目が合うと、にっと笑った。
啓輔の迷いは一気に吹っ飛んだ。
「あ、おれも、騎馬戦」
他の奴だけに良充を触らせておくわけにはいかへん。他の奴に任せて怪我させたら大変や。なんや佐藤の今の笑いも気になるし。心頭滅却すれば火もまた涼し。練習中に修行積んだらなんとかなるやろ。
実際練習では大丈夫だった。良充は長ズボンを穿いていたからだ。
それが。
「本番やからって張り切って短パン穿くなやぁ。怪我したらどうすんねん」
啓輔はなんとか邪念を振り払おうと自分の上に乗る良充に向かって叫んだ。
「そんなん、おまえがしっかりしててくれたらええだけのことやろ~っ! 勝つでっ!」
上から元気に明るい笑顔で見据えられ、啓輔はさらに後ろめたい気持ちになる。ふと横を見ると、また佐藤がにっと笑って啓輔を見ている。
「なかなかの感触やな」
啓輔に小さく言う。
その瞬間、啓輔のこめかみの奥でぷちっと音がした。
「おまえっ! もっぺん言うてみぃっ!」
啓輔は佐藤の胸座に掴みかかった。その途端、もちろん上に乗っている良充がバランスを崩して落ちてくる。
「わ~っ!」
がつっ、と音を立てて良充が地面に落ちた。しまった、と舌打をして啓輔が良充の所在を探す。
「こら~っ! 啓輔っ! オレを上に乗せてる事、今忘れとったやろっ!」
良充が怒った顔で啓輔を睨みつけている。
「あ、良充、大丈夫やったんか、よかった」
啓輔は元気そうに怒る良充を見てほっと息をついた。
「ダイジョブや。……オレはな」
そう言って良充はちらと下を見やった。地面に突っ伏して伸びていたのは、佐藤だった。
教師たちがわらわらと駆け寄ってくる。
「アホ啓輔、気ぃつけろ」
良充はぽつりとそう呟いて、ぐうの手でぐい、と啓輔の胸元を押した。
「……ごめん」
「ま、佐藤の頭に踵落としたんはオレやけどな」
「……え?」
「ちょっとな、キモチ悪、と思たから……」
顔をうっすらと赤らめて良充が下を向いた。
「怒ってくれて、ありがと」
そう言い残して良充は運ばれていく佐藤に群がる人だかりに向かって走っていった。
結局啓輔のクラスの騎馬戦は不戦敗に終わった。
そのあと啓輔はたっぷり担任に絞られた。その代わり啓輔の手には、ほんのり幸せな感触が残った。
おしまい
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「オレ、騎馬戦! 上に乗るのん、やりたいっ!」
啓輔は続いて名乗りをあげるか、一瞬躊躇した。
不用意に良充に触れたら、えらいことになってしまうかもしれん。
啓輔が考え込んでいると、「あ~、おれも騎馬戦~」と後ろの方から声がした。振り向くと、いつも何事にもダルそうにしている佐藤が手を挙げていた。佐藤は啓輔とふと目が合うと、にっと笑った。
啓輔の迷いは一気に吹っ飛んだ。
「あ、おれも、騎馬戦」
他の奴だけに良充を触らせておくわけにはいかへん。他の奴に任せて怪我させたら大変や。なんや佐藤の今の笑いも気になるし。心頭滅却すれば火もまた涼し。練習中に修行積んだらなんとかなるやろ。
実際練習では大丈夫だった。良充は長ズボンを穿いていたからだ。
それが。
「本番やからって張り切って短パン穿くなやぁ。怪我したらどうすんねん」
啓輔はなんとか邪念を振り払おうと自分の上に乗る良充に向かって叫んだ。
「そんなん、おまえがしっかりしててくれたらええだけのことやろ~っ! 勝つでっ!」
上から元気に明るい笑顔で見据えられ、啓輔はさらに後ろめたい気持ちになる。ふと横を見ると、また佐藤がにっと笑って啓輔を見ている。
「なかなかの感触やな」
啓輔に小さく言う。
その瞬間、啓輔のこめかみの奥でぷちっと音がした。
「おまえっ! もっぺん言うてみぃっ!」
啓輔は佐藤の胸座に掴みかかった。その途端、もちろん上に乗っている良充がバランスを崩して落ちてくる。
「わ~っ!」
がつっ、と音を立てて良充が地面に落ちた。しまった、と舌打をして啓輔が良充の所在を探す。
「こら~っ! 啓輔っ! オレを上に乗せてる事、今忘れとったやろっ!」
良充が怒った顔で啓輔を睨みつけている。
「あ、良充、大丈夫やったんか、よかった」
啓輔は元気そうに怒る良充を見てほっと息をついた。
「ダイジョブや。……オレはな」
そう言って良充はちらと下を見やった。地面に突っ伏して伸びていたのは、佐藤だった。
教師たちがわらわらと駆け寄ってくる。
「アホ啓輔、気ぃつけろ」
良充はぽつりとそう呟いて、ぐうの手でぐい、と啓輔の胸元を押した。
「……ごめん」
「ま、佐藤の頭に踵落としたんはオレやけどな」
「……え?」
「ちょっとな、キモチ悪、と思たから……」
顔をうっすらと赤らめて良充が下を向いた。
「怒ってくれて、ありがと」
そう言い残して良充は運ばれていく佐藤に群がる人だかりに向かって走っていった。
結局啓輔のクラスの騎馬戦は不戦敗に終わった。
そのあと啓輔はたっぷり担任に絞られた。その代わり啓輔の手には、ほんのり幸せな感触が残った。
おしまい
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コメント
や~~ええわ~~。
「俺、上に乗るのんやりたい!!!」
そうか、そうか。
えっ、違う!?
エロキショ佐藤に踵は落すわ、張り切って短パンはくわ・・・
「元気系」の名に恥じぬはっちゃけぶりですね。
成長が楽しみですわ。
「俺、上に乗るのんやりたい!!!」
そうか、そうか。
えっ、違う!?
エロキショ佐藤に踵は落すわ、張り切って短パンはくわ・・・
「元気系」の名に恥じぬはっちゃけぶりですね。
成長が楽しみですわ。
2007/11/08(木) 13:13 | URL | 平和堂書店 #-[ 編集]
>平和堂書店さま
ハッ!
上に乗る…!!!
そうかそうか描いてる本人も気付かないうちに
良クンったら……
エロキショ!モラッタ~~!
今日もたくさんのコメ
ありがとうございまんた☆
ハッ!
上に乗る…!!!
そうかそうか描いてる本人も気付かないうちに
良クンったら……
エロキショ!モラッタ~~!
今日もたくさんのコメ
ありがとうございまんた☆
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