その翌日は、幸い土曜で会社は休みだった。週明けを思うと、気分が重くなる。けれども酔いの所為ということにして忘れてやろう。玲は心に決めた。
なのに、奴は来た。テレビで観ていた、洋画の一番いい所で。
なのに、奴は来た。テレビで観ていた、洋画の一番いい所で。
申し訳なさそうに玄関口に佇む健一郎の姿は、しゃんとすれば大きいであろうその身体をいつもの様に丸めて小さく見せている。
「一緒にビールを飲みませんか」
手にしていたコンビニの袋には肴も入っている。要領の悪い健一郎が昨夜の事を気に病んで謝りに来たのだろう。
「気にしてない」の一言を言ってやらないと奴が来週から普通に仕事できないかもしれない。そう思い玲は彼を部屋に入れた。
けれどもそれは間違いだった。
とりあえず、映画は最後まで観させろよ、と言って、健一郎を適当に腰掛けさせた。
その後すぐに映画は終わってしまい、ぽっかり空いた間を埋めるべく、玲は煙草に火を点けた。
「あの、昨夜の事ですけど……」
それまで大人しく沈黙を守っていた健一郎が、口を開いた。
手にしたビールの蓋も開けず、手で弄びながら遠慮がちに玲を見る。
「ん? ……まあ、気にすんな。ただ、飲みすぎには気をつけろよな」
「やっぱり。山根さん、優しいからそう言うと思った。……だから来たんです。昨夜俺が言った事、無かったことにしないでください。……本当に、山根さんのこと、好きなんです」
予想を裏切る健一郎の台詞に、玲の身体が固まった。
手にしていた煙草から灰がぽとりと落ちる。
「あちっ!」
慌てて落ちた灰を払うと、それがカーペットに転がり落ち、1センチ程の丸い焦げ目を作る。
「だ、大丈夫ですか?」
健一郎が心配そうに玲の肩に触れた。触れた健一郎の手がさっき落ちた灰より熱く感じて、玲はびくっとその手を振り払った。
「だっ大丈夫大丈夫」
無理な笑顔を作って健一郎に笑いかける。熱い。昨夜の熱がまた玲を襲った。
「え、映画も終わったし、そろそろ、お前、帰れよ。な。このビールは貰っとくよ。ありがとな」
玲はまだ何か言いたげな健一郎の背中を押して玄関まで連れて行き、扉の外へと追い出した。
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「あの、昨夜の事ですけど……」
それまで大人しく沈黙を守っていた健一郎が、口を開いた。
手にしたビールの蓋も開けず、手で弄びながら遠慮がちに玲を見る。
「ん? ……まあ、気にすんな。ただ、飲みすぎには気をつけろよな」
「やっぱり。山根さん、優しいからそう言うと思った。……だから来たんです。昨夜俺が言った事、無かったことにしないでください。……本当に、山根さんのこと、好きなんです」
予想を裏切る健一郎の台詞に、玲の身体が固まった。
手にしていた煙草から灰がぽとりと落ちる。
「あちっ!」
慌てて落ちた灰を払うと、それがカーペットに転がり落ち、1センチ程の丸い焦げ目を作る。
「だ、大丈夫ですか?」
健一郎が心配そうに玲の肩に触れた。触れた健一郎の手がさっき落ちた灰より熱く感じて、玲はびくっとその手を振り払った。
「だっ大丈夫大丈夫」
無理な笑顔を作って健一郎に笑いかける。熱い。昨夜の熱がまた玲を襲った。
「え、映画も終わったし、そろそろ、お前、帰れよ。な。このビールは貰っとくよ。ありがとな」
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