「あれえ、吉塚じゃん」
直登と要は第一の目的だったワイングラスの購入を無事終え、「ワイシャツを買いたい」という要の希望で、百貨店の五階メンズウェア売り場に立ち寄った。ブランド別・素材別・サイズ別にずらりと並べられたシャツの陳列棚の前で、すぐにでも部屋に戻りたくてウズウズしている直登を尻目に、要はあれこれ手に取り、のんびりと品定めをしているところだった。
直登と要は第一の目的だったワイングラスの購入を無事終え、「ワイシャツを買いたい」という要の希望で、百貨店の五階メンズウェア売り場に立ち寄った。ブランド別・素材別・サイズ別にずらりと並べられたシャツの陳列棚の前で、すぐにでも部屋に戻りたくてウズウズしている直登を尻目に、要はあれこれ手に取り、のんびりと品定めをしているところだった。
声を掛けたのは、短めの頭髪をきっちり整え、パリッとした洒落たスーツに身を包んだ、いかにもなデパートの爽やか男性店員。その男がデパートの店員らしからぬ馴れ馴れしい口調で要に声を掛けたのだ。
「え? 巽先輩?」
「おう、久しぶり。何? お前もいっぱしにスーツなんて着るようなことしてんの? 就職活動?」
嫌味なまでの爽やかさで直登をまったく無視して要に話し掛ける。
「んなわけないっしょー。もう二年目ですって。……先輩、就職百貨店だったんですね~。なんか似合ってますね。……もてるでしょ?」
嗚呼、馬鹿センセー、そんなににこにこと笑顔でエセ爽やか男に応えるな!
直登の心の叫びも空しく会話は続く。
「……ばっかお前……百貨店じゃオンナばっかだろっつーの。……しっかしお前、全然変わらないな。就職、こっちだったんだ」
巽が馴々しく要の髪をくしゃ、と撫でる。要はくすぐったそうに笑っている。
――何?! 今ちょっと聞き捨てならない台詞を言ってなかったかっ? 「オンナばっかだろ」とは?!
直登は巽を睨み付けながら会話に聞き耳を立てる。
「あ、はい。普通にサラリーマンしてますよ。先輩こそ、変わってないじゃないですか。あ、そだ、こいつ、僕の家庭教の時の生徒なんです。同じK大ですよ。直登、こちら大学ん時のゼミの先輩の巽さん」
む~んと巽を睨みつけていた直登は突然振られた会話に、不機嫌さを隠さず答えた。
「……どーも」
「へえ、なかなかのナイスガイだね。学部は?」
爽やかに、しかし直登をしっかり上から下までチェックしながら訊ねる。
「……工学部です」
「そう、優秀なんだね。土木の田中ゼミは取らない方がいいらしいよ。課題キツくて睡眠時間が一日に二、三時間しか取れなくなるって話だからね」
「はあ」
直登は余計なお世話だと言わんばかりに無愛想に頷く。
「吉塚、あのさ」
巽は何やら要の耳元でぼそぼそと話し掛けた。それは直登に明らかに嫌な感じを抱かせる。
「ち、違いますよ! そんな……」
ぱっと顔を紅くして要は何かを否定する。
「あ、そう? ……ふーん。まあ、いいや。そんなわけで、俺ここで働いてるからさ、時間あったら久々に一度、飲みにどーよ? 奢ってやるよ。名刺、渡しとくよ。携帯の番号も書いてあるから。いつでも電話して」
巽は胸の内ポケットから取り出した名刺入れから紙切れを取り出し要に手渡した。
「せんせ」
痺れを切らしてとうとう直登は要の腕を掴んだ。
「早く、行こうよ」
「ん? 何? ちょっと、おい、あ、先輩、じゃあ、また電話します!」
直登は要の腕を掴み尚もずんずん進む。
「おい、直登、ちょっと、何だよ、今の」
腕を掴まれひきずるように連れられながら要が怒ったように問う。だが直登は尚も言葉を返さずどんどん進む。
2へ→
「社外恋愛のススメ」シリーズへ→
↓よければポチっと押してクダサイ
「え? 巽先輩?」
「おう、久しぶり。何? お前もいっぱしにスーツなんて着るようなことしてんの? 就職活動?」
嫌味なまでの爽やかさで直登をまったく無視して要に話し掛ける。
「んなわけないっしょー。もう二年目ですって。……先輩、就職百貨店だったんですね~。なんか似合ってますね。……もてるでしょ?」
嗚呼、馬鹿センセー、そんなににこにこと笑顔でエセ爽やか男に応えるな!
直登の心の叫びも空しく会話は続く。
「……ばっかお前……百貨店じゃオンナばっかだろっつーの。……しっかしお前、全然変わらないな。就職、こっちだったんだ」
巽が馴々しく要の髪をくしゃ、と撫でる。要はくすぐったそうに笑っている。
――何?! 今ちょっと聞き捨てならない台詞を言ってなかったかっ? 「オンナばっかだろ」とは?!
直登は巽を睨み付けながら会話に聞き耳を立てる。
「あ、はい。普通にサラリーマンしてますよ。先輩こそ、変わってないじゃないですか。あ、そだ、こいつ、僕の家庭教の時の生徒なんです。同じK大ですよ。直登、こちら大学ん時のゼミの先輩の巽さん」
む~んと巽を睨みつけていた直登は突然振られた会話に、不機嫌さを隠さず答えた。
「……どーも」
「へえ、なかなかのナイスガイだね。学部は?」
爽やかに、しかし直登をしっかり上から下までチェックしながら訊ねる。
「……工学部です」
「そう、優秀なんだね。土木の田中ゼミは取らない方がいいらしいよ。課題キツくて睡眠時間が一日に二、三時間しか取れなくなるって話だからね」
「はあ」
直登は余計なお世話だと言わんばかりに無愛想に頷く。
「吉塚、あのさ」
巽は何やら要の耳元でぼそぼそと話し掛けた。それは直登に明らかに嫌な感じを抱かせる。
「ち、違いますよ! そんな……」
ぱっと顔を紅くして要は何かを否定する。
「あ、そう? ……ふーん。まあ、いいや。そんなわけで、俺ここで働いてるからさ、時間あったら久々に一度、飲みにどーよ? 奢ってやるよ。名刺、渡しとくよ。携帯の番号も書いてあるから。いつでも電話して」
巽は胸の内ポケットから取り出した名刺入れから紙切れを取り出し要に手渡した。
「せんせ」
痺れを切らしてとうとう直登は要の腕を掴んだ。
「早く、行こうよ」
「ん? 何? ちょっと、おい、あ、先輩、じゃあ、また電話します!」
直登は要の腕を掴み尚もずんずん進む。
「おい、直登、ちょっと、何だよ、今の」
腕を掴まれひきずるように連れられながら要が怒ったように問う。だが直登は尚も言葉を返さずどんどん進む。
2へ→
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コメント
今までは最後まで書いてから上げてきてたのですが
今回最後まで仕上がってないものを
上げていきますチャレンジ☆(←キモチ悪)
今迄で一番長くなりそうです。
どうぞお付き合いクダサイm(_ _)m
サブタイトルまで未定のままwwwww
誰か考えて……(バタ)
今回最後まで仕上がってないものを
上げていきますチャレンジ☆(←キモチ悪)
今迄で一番長くなりそうです。
どうぞお付き合いクダサイm(_ _)m
サブタイトルまで未定のままwwwww
誰か考えて……(バタ)
とりあえず副題は~コイビトのキス~にしてみました。
ただいま18禁部分鋭意執筆中~wwww
目標達成できるようガンバリマッスル
ただいま18禁部分鋭意執筆中~wwww
目標達成できるようガンバリマッスル
アレなわけですか。
女は眼中にないと。
おなごにもてようと、犬猫に懐かれるようなもんだと。
ということは…つまり、アレなわけですか…?
横恋慕とか嫉妬とか、その言葉だけで酒が飲めそうな
くらい…、だい こう ぶつ(:´Д`)ハァハァ
もちろんメンズ限定ですがね…。ヘヘ。
女は眼中にないと。
おなごにもてようと、犬猫に懐かれるようなもんだと。
ということは…つまり、アレなわけですか…?
横恋慕とか嫉妬とか、その言葉だけで酒が飲めそうな
くらい…、だい こう ぶつ(:´Д`)ハァハァ
もちろんメンズ限定ですがね…。ヘヘ。
>ハナサン
つまりハイ、巽先輩はアレなワケです。
要のテケトーな過去の一人です。
(とココで筆力不足を補足説明してみるテスト)
私も当て馬は大・好・物☆
当て馬がイイ人であるほどキュン度は高まりますが
私の力量では描けませんですた(;^ω^)
よろしければしばしお付き合いくだちぃ
つまりハイ、巽先輩はアレなワケです。
要のテケトーな過去の一人です。
(とココで筆力不足を補足説明してみるテスト)
私も当て馬は大・好・物☆
当て馬がイイ人であるほどキュン度は高まりますが
私の力量では描けませんですた(;^ω^)
よろしければしばしお付き合いくだちぃ
嫉妬を隠し切れないとこがまた初々しい。
こうでないとね、健全な性少年は。
えっ、字が違う?
こうでないとね、健全な性少年は。
えっ、字が違う?
2007/11/10(土) 16:37 | URL | 平和堂書店 #-[ 編集]
いいえぇやおいなボーイズは
すべからず性少年(あるいは精少年?)ですわぁ…
嫉妬は萌えアイテムなので
年食ってもぜひ隠さず出して欲すぅいトコロです…wwww
すべからず性少年(あるいは精少年?)ですわぁ…
嫉妬は萌えアイテムなので
年食ってもぜひ隠さず出して欲すぅいトコロです…wwww
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