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偏愛エレジー(2)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 これを、一目惚れと呼ぶのだろうか。

「――河辺尚大です」

 四月。五階にある研究室からはグラウンド横に咲く満開の桜が下に見えた。

 位織は、教授の助手としてその部屋に同席していた。大学院生の位織が専攻する友永研究室のゼミ生として新しく入ってきた3年生。新入生の初々しさも消え、かと言ってまだ世間の荒波に揉まれる前の青さを残した数名の学生たち。

 その中に、彼がいた。

 一重で切れ長の目に、すっと通った鼻筋。酷薄そうにも見える薄い唇の、片端だけが笑みに上がる。

 その瞬間、位織の五感から彼以外のものが消えた。

 耳に届くのは彼の、少し低い、張らずともよく通る声。

 目に映るのは、彼の出来上がった体躯。引き締まった顎線。

 彼に感じる、男の部分にどうしようもなく惹かれた。

 本能のように。

 直感のように。

 欲しい、と思った。



「――彼は院生の竹内位織君。君達と専門が同じになるから、私に聞きにくいことなら彼に聞いて下さい。彼なら年齢も近くて話し掛け易いでしょうから」

 上品な口髭を鼻下に蓄えた教授の友永が、穏やかな口調で位織を紹介した。

 友永が、位織自らも自己紹介するよう促すように、位織の背にそっと手を添える。

「竹内位織です。僕もまだ勉強中なので至らない事もあるかと思いますが、一緒に勉強させてもらいたいと思いますので何でも気軽に声を掛けて下さい」

 位織は軽く会釈をして自己紹介を済ませた。

 背に乗せられた、友永の手のひらの熱。その生温い感触に、位織の背筋はぞわりと粟立った。肌に馴染むほどに熟知しているはずのその温もりに、急に嫌悪した。





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尚大×位織

関連:和大×ナツメ 



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コメント
スピンオフ大好物です~!
報われない恋路…切なさ全開ですね。
片思いしてるのに、体の関係があるのって何かに期待しちゃいけないのにわずかな希望があるような気がしてホントに抜け出せなるような気がします。
しかも7年って…(涙)
続きがとても気になります~!
ブラックなキャラらしい位織ですが(笑)これからの展開にドキドキです(*^o^*)
2009/03/28(土) 23:19 | URL | chihiron #-[ 編集]
あああ!これがスピンオフ!
>chihironさん(*´∀`)

あいー『Fly me ~』をお読みいただいたのであれば
尚大がナツメをダイジダイジに思ってるのは
27歳になっても、なので
なかなか位織が尚大をモノにするのは難しいです(;´Д`)
あああちゃんとくっつけられるか心配になってきましたが
なんとか最後まで漕ぎ着けたいと思いますので
どうぞお付き合いの程よろすくおながいいたしますー!
2009/03/29(日) 22:47 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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