週に一度のゼミクラスの、最初のガイダンス的講義を何度か受け終え、三年生たちもいよいよ本格的にレポートと実験の繰り返しの日々が始まった。
位織もクラスのたびに顔を出し、まだ手助けできることは少なかったものの、少しずつ三年生たちに馴染み、先輩として慕われ始めていた。
位織もクラスのたびに顔を出し、まだ手助けできることは少なかったものの、少しずつ三年生たちに馴染み、先輩として慕われ始めていた。
「――位織さん」
授業を終えて廊下に出た位織に、尚大が声をかけた。
「俺再来週ゼミの発表なんすけど……教授から出された『シナプスと超電導』ってテーマ、ぶっちゃけ全然分かんないんすよね」
小さく肩を竦ませ、尚大が位織を見て苦笑する。尚大が自分を見ている。その視線を身に感じるだけで位織の身体の奥はじくりと小さな音を立てて渇えた。
「ん……それなら、研究室にある本何冊か借りて読めば書けると思うよ。河辺今日、このあと時間ある?」
「今日ははい、バイトもないんで一日、大丈夫です」
「じゃあ悪いけど、午後四時に、研究室に来れる? その前に教授に論文見てもらう約束してて。その後なら、ゆっくり本の紹介もできるし」
「あ、分かりました」
位織は穏やかな笑みを尚大に向けた。
じゃあ後で、と手を上げた位織に尚大は、お願いします、と無邪気に会釈した。
午後三時半に教授の友永に博士論文の内容を見てもらう約束があった位織は、少し遅めに研究室に入った。下書き段階の論文を友永に手渡し、ゆったりとした革張りのチェアに座ってそれを読む友永を、位織はじっと待った。
「――これで行って良いよ。あとは実験できちんと裏付け取って……なかなか面白いのになりそうだね」
「……ありがとうございます」
下書きを読み終えて、友永が位織にレポート用紙の束を返した。
「位織、論文の話はここまでだ」
ただ穏やかだった友永の目に、性的な光が宿る。友永がそっと、位織の手を取った。
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尚大×位織
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授業を終えて廊下に出た位織に、尚大が声をかけた。
「俺再来週ゼミの発表なんすけど……教授から出された『シナプスと超電導』ってテーマ、ぶっちゃけ全然分かんないんすよね」
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「ん……それなら、研究室にある本何冊か借りて読めば書けると思うよ。河辺今日、このあと時間ある?」
「今日ははい、バイトもないんで一日、大丈夫です」
「じゃあ悪いけど、午後四時に、研究室に来れる? その前に教授に論文見てもらう約束してて。その後なら、ゆっくり本の紹介もできるし」
「あ、分かりました」
位織は穏やかな笑みを尚大に向けた。
じゃあ後で、と手を上げた位織に尚大は、お願いします、と無邪気に会釈した。
午後三時半に教授の友永に博士論文の内容を見てもらう約束があった位織は、少し遅めに研究室に入った。下書き段階の論文を友永に手渡し、ゆったりとした革張りのチェアに座ってそれを読む友永を、位織はじっと待った。
「――これで行って良いよ。あとは実験できちんと裏付け取って……なかなか面白いのになりそうだね」
「……ありがとうございます」
下書きを読み終えて、友永が位織にレポート用紙の束を返した。
「位織、論文の話はここまでだ」
ただ穏やかだった友永の目に、性的な光が宿る。友永がそっと、位織の手を取った。
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