2ntブログ

偏愛エレジー(4)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「そのことなんですけど教授、……」
「どうした?」

 位織のしなやかな手を口元に運び、友永が指先に唇を押し当てる。位織はその唇の感触に背が粟立つのを感じながら、じっと堪えて息を飲んだ。

「終わりにしたい、んです」
「――なんだって?」

 友永が驚きに目を見開いて顔を上げた。

「ごめんなさい教授、……別れたいんです」
「先に好きだと言ってきたのは位織の方だよ」
「分かってます……でも」

 もうできません、と俯いた。

「納得できない」
「……っ」

 友永が立ち上がり、位織の両腕を掴む。位織は痛い程に強く握る友永の手の力に僅かに怯えながら、壁に掛かった時計をちらりと伺った。

 ――今三時五十五分。

 四時に尚大がここへ来るはずだ。

 予定通りの事の成り行きに、位織は心の内でひっそりと満足する。

 もう少し友永を煽って、抵抗しなければ。尚大に見られるべきは、教授に迫られて困っている自分。

 時間にしてあと三分か――あるいは長く掛かったとしてもあと八分か。いずれにせよあと少しだと、位織は緊張と、身構える為に身体を強張らせた。

「こんなに私を夢中にさせておいて、それはないだろう位織。理由はなんだ? 他に男ができたのか」

 強い力で揺すぶられ、詰問される。

「違います。……僕には少し、重いんです教授」
「そんなはずはないだろう位織? あんなに私を好きだと言っていたじゃないかっ」

 友永に迫られ、天井まで書物がぎっしり詰まった本棚に背を押し付けられる。

「私に妻があるのが悪いのか? それならすぐにでも妻と別れる」

 だから位織、と友永が顔を寄せた。

「やっ……めてくださっ……教授っ」

 位織が顔を背け、腕を上げて友永を押し返そうとしたその時、研究室のドアをノックする音が響いた。






←3へ / 5へ→ 
←1から読む
尚大×位織

関連:和大×ナツメ 




にほんブログ村
ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
↑ランキング参加中す。よければポチっと押してクダサイ
書く意欲に繋がってます(*´∀`)




コメント
正義の味方、尚大さんのその後も気になっていたのですが
ナツメさんと全く違うタイプの位織さんの出現に
上手く意表をつかれました~。
というかツボを突かれた?(笑)
尚大さんのこの後の反応が楽しみ☆
2009/03/30(月) 09:25 | URL | 蛍 #-[ 編集]
正義の味方を食らうためにw
>蛍さん(*´∀`)

位織はバリウケで若干(?)黒いですが
愛は与える系な設定のツモリで進めてます(*´∀`)
黒い位織、ダイジョブですかあああああアッ――!
蛍さんのツボ突けたのならほんとウレシスです(´Д⊂ヽ
こんなカンジにしばらく続きそうですが
よろしければ最後までよろしくお付き合いくださいませですー!

2009/03/30(月) 21:30 | URL | ベラ #-[ 編集]
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 

 | Copyright © がっつりBL的。 All rights reserved. | 

 / Template by 無料ブログ テンプレート カスタマイズ