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偏愛エレジー(8)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 連れて来られたのは尚大がよく来ると言っていた、彼のテリトリーとも呼べる店。女言葉を使うマスター。店内を見渡せば、男ばかりの客層。

 位織は確信した。

 尚大の内にも存在する、秘められた告白欲を。

 尚大は話したがってる。

 自分も、位織と同じだと。


「――付き合ってた、だよ。教授には俺から言ったんだけど……付き合ってくうちに少し、重くなってしまった、んだよね」

 その言葉に嘘はなかった。

 いつも穏やかで、優しい友永を好きになった。彼を心から尊敬し、彼のようになりたいと憧れてもいた。

 院への進学か卒業かを賭けて友永に想いを伝えると、思いがけなく友永が位織の想いに応えてくれた。

 教授と学生以上の関係を重ねるようになってからは、彼が妻帯者だという現実に、何度一人で静かに涙を流したか分からない。けれども彼に、妻と別れて位織だけのものになるよう望むということは即ち、彼から地位や名誉を奪うことを望むことに等しい。彼を愛しているからこそ、それはできないと、位織は思っていた。

 位織から身を引かなければ、と分かっていながらそれでも断ち切ることができなかった想い。身体を重ねる度、友永の位織に対する想いが大きくなってゆくのを感じるにつけ、別れを切り出すこともできないまま、ずるずると続けてしまった関係。

 尚大に恋したことは、位織にとって救いにも似た大きな転機だった。

「……重くなった?」

 位織の真意を問うように、位織をじっと見詰めて尚大が小さく問いかけた。

「……、……ん」

 合わされた視線。尚大に何かを見抜かれてしまいそうな気がして、位織は視線をグラスに戻して俯くように頷いた。

 考え抜いて使った言葉のつもりだったが、この言葉を使ったことが良かったのか悪かったのか。今更迷いが位織を襲う。





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尚大×位織

関連:和大×ナツメ 




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コメント
あー。この店、あの店ですか!!
や、やっぱり、裏方でいいのでこのお店のスタッフになりたいでつ。
マスター、なんなら、男装してもいいですからっ(ダメ)
2009/04/03(金) 11:16 | URL | YUKA #-[ 編集]
あいー(*´∀`)
>YUKAさん(*´∀`)

あいーお馴染み(?)のあの店あのマスターでごじゃいやす(*´∀`)
慎治も穂積も聡×淳もナツメも通うあの店すw
ちっさい店なのでマスターとあと一人くらいで
中は回してるようなイメージすが
(あんま凝った料理も出さない店なのでw)
ぜひ、男装後(←)働いてやってくださいませです(*´∀`)
色んなオトコノコたちの恋愛模様……
あああああああああ私も目の当たりにしたいアッ――!
2009/04/03(金) 23:13 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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