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偏愛エレジー(9)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 『重くなった』

 この言葉を使った理由(わけ)。それは。

 ここのところ友永が離婚を匂わせ始めていたことに戸惑いを隠せなかった。自分がその原因になってしまうのが怖いと思った時、既婚者である友永に恋をしていただけだったのかも知れない、と思い至ったから。

 そして何より。

 位織が重い付き合いを好まないと尚大に示唆することで、彼が手に入りやすくなるかも知れないと、考えたから。

 尚大を好きになったと、彼に告げるより。

 気持ちが自分に向けられていなくても良い。

 今はただ少しでも早く、尚大が欲しかった。

 けれども尚大がそんな恋愛を嫌うタイプの人間なら、その言葉を使ったことは失敗だったかも知れない。

 おそらくほんの数秒の沈黙。でもそれが、一生続くのではないかと思う程に長く感じる。

 俯いたまま、位織は尚大の言葉を待った。

「――分かりますよ」
「――え?」

 顔を上げて、尚大を見た。

「どっちかってと俺も、重い付き合いとか、できないみたいだから」

 静かに言葉を紡ぐ尚大が、何故か少し、切なく笑っているかに見えた。

 その理由は分からない。ただ位織は、その答えに安堵した。

 その時店内に微かな風が流れた。薄く開いた入口のドアから入って来た一人の男性客。「いらっしゃいナツメちゃん、尚ちゃん来てるわよ」と言うマスターの声に、位織はその客に視線を向けた。

 幼いと言って良い程に若く見える青年だが、この店に出入りすると言うことはそれなりの年齢には達しているのだろう。店の奥側、カウンターの端に尚大の姿を見つけた彼は、店の入り口に一番近いカウンター席に腰掛けながら尚大に向かってよぉ、と軽く手を上げた。その仕草の向けられた先、尚大に視線を戻すと、尚大も気安い様子で指に煙草を挟んだ手を上げ返し、唇の片端だけを上げる、いつもの笑みを浮かべていた。






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尚大×位織

関連:和大×ナツメ 




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コメント
ナツメにも
会っていたんですね!
なるほど~~。
そんじゃあ余計に切ない時間を過ごして来たわけだ…。
切ない3カク関係だなぁ゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
う~どうなっていくのかドキドキしながらお待ちしてます!
2009/04/04(土) 00:52 | URL | 柚子季杏 #-[ 編集]
あいー(*´∀`)
>柚子季てんてぇ(*´∀`)

ナツメを見かけてナツメのピアノを聴いて
尚大からナツメをスキと聞かされて
ナツメとヤったコトあるとまで暴露されてしまいます(それはまだ予定すw)(゚∀゚)アヒャ
カワイソス位織wそれを七年w
計算高いブラック健気ウケ、と銘打った所以でございエヘ(*´∀`)
ほんとにちゃんとこの二人纏まるのか
未だに心配だったりしますが
なんとか最後までお付き合いの程よろすくおながいしますですー!
2009/04/04(土) 23:21 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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