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タガイノクスリ(1)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 智裕が落ち込んでいる。

 学園祭の準備中、ふざけていた生徒の一人が二階の窓から落ちた。幸いその生徒は足を骨折したのみで、命に別状はなかった。けれどもPTAから生徒会任せの学園祭を疑問視する声があがり、智裕はそれをとりなす為に奔走した。学校側、PTAを相手に大演説をぶちかまし、完璧なまでの後処理を行った。かえって生徒会長としての株が上がったくらいである。
 教室でも生徒会室でも職員室でも、気丈に毅然と、智裕は平生と変わらない涼しげな顔をしていた。さらりとやってのけるその様に新たに智裕を崇拝する生徒も増えた。

 智裕は「生徒会長としてやるべきことをするだけだよ」と皓市には決して見せない優しい笑みを浮かべて答えるだけだった。それがまた更に生徒会長としての智裕のカリスマ性を高めたと言える。

 ――けれど。
 皓市は知っていた。
 智裕は、落ち込んでいる。
 誰にも見られることのないところで。
 自分の代でケガ人が出たということを。


「……そろそろ行ってやりますか……」

 自宅で一人夕食を食べたあと、テレビも観ずにぼうっと片肘をついていた皓市は、閉じていた目をぱっと開けたと同時に立ち上がった。


「こんばんは~」

 最近は頻度こそ落ちたが、かつては通いつめて見慣れた玄関を智裕の母に開けてもらい通り過ぎる。「皓市君、こんな時間にめずらしいわね」と智裕の母親がいつもと変わらぬ笑顔で微笑む。

 ――智裕の奴、おばさんにも気付かれてねーの?

 逆にそれだけ相当応えている、というコトだ。

「ちょっとは俺に頼れ、っての」

 小さく呟きながらノックもせず智裕の部屋のドアをどかっと開ける。
 机に向かいドアに背を向けていた智裕がくるりと首だけを音のする方へ向ける。

「……なんだ、皓市か」

 ドアを開けたのが皓市だと分かった途端、再びくるりと目線を机に戻す。

「……何か用?」

 智裕が背中越しに小声で訊ねる。

「そりゃないでしょ、智クン」

 智裕の拒絶のバリアをものともせずずかずかと智裕の領域に足を踏み入れてゆく。
 机の横に立ち、智裕の手元を見ると、新しいページを開たまま何も書き込まれていないノートが眩しい。

 皓市は智裕の腕を掴んで智裕を椅子から立ち上がらせた。

「ちょ、やめろって」

 椅子ががたっと音を立てて後ろに倒れ、皓市に味方する。皓市は無理矢理立ち上がらされてよろめく智裕の全体重を受け止めた。

「俺のコト、待ってただろ?」
「んなわけ……ない」

 言いつつ智裕は静かに皓市の肩にその細い顎を乗せた。
 皓市がそれに応えて優しく智裕の背をぽんぽん、と叩いてやる。


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コメント
あ~マジメなんや~、智くん。
マジメな子は、おばちゃん、好きよ。
自分のせいじゃないんだけどね、責任感じてしまうのね・・・
でも、平気の振りしてる気丈な智くんを、ちゃんと分かってくれてる人がいる。
救いだよね。
2007/11/11(日) 08:28 | URL | 平和堂書店 #-[ 編集]
生徒会長ですからb
そですねモノ言わずして分かってくれる相手がいる
…萌えですwwwwww
2007/11/11(日) 10:25 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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