「がああぁっ! もうっ! 何でっ!」
「何でっ、て?」
煙を吐きながら享一が溜息混じりに訊く。
「Whyだよっ! ちきしょ~っ」
「駐禁だろ」
享一はあっさりそう答え、ショックでふらつく泰司の肩を抱えて部屋へと連れ戻った。
呆然と座り込む泰司に水を飲ませる。泰司はんぐんぐっと一気にコップを空けて虚ろな目で享一を見た。
「享一……」
今にも泣き出しそうな泰司の姿に享一は苦笑いを浮かべる。
「明日、俺が取りに行ってやるから」
「うん……」
享一は泰司の頭をくしゃりと撫でた。
「何でっ、て?」
煙を吐きながら享一が溜息混じりに訊く。
「Whyだよっ! ちきしょ~っ」
「駐禁だろ」
享一はあっさりそう答え、ショックでふらつく泰司の肩を抱えて部屋へと連れ戻った。
呆然と座り込む泰司に水を飲ませる。泰司はんぐんぐっと一気にコップを空けて虚ろな目で享一を見た。
「享一……」
今にも泣き出しそうな泰司の姿に享一は苦笑いを浮かべる。
「明日、俺が取りに行ってやるから」
「うん……」
享一は泰司の頭をくしゃりと撫でた。
「お前、もう、車売れよ」
「……え?」
泰司が虚ろな目をしたまま、何で? と言いたげに享一を見る。
「お前、たいして運転上手くないし、それにあの車、結局ここへ来るくらいしか使ってないだろ?」
泰司の目がみるみるうちに大きく見開かれて、怒りの表情に変わってゆく。
「ここへ来るくらい、ってそれが一番大事じゃねーかっ! 俺んちからアクセスの悪いとこに住んでるお前が悪いんだろっ! それとも、俺にここに来るなってことかっ! そうな……!」
享一が怒鳴り散らす泰司の唇を自らの唇で塞いだ。泰司はしばらくもがもがと暴れ、けれども頑丈な享一の腕に動きを封じ込められて、やがて、体の力を抜いた。
「一緒に住めば、俺の車一台で充分だろ?」
やっと大人しくなった泰司の耳元で享一が囁いた。
「……それを早く言え」
泰司は小さく息を吐き、目を閉じて享一を抱き返した。それを受けて享一が泰司の耳にキスをする。
「こらっ! だめだっ!」
泰司が享一を突き飛ばした。
「……何で」
享一が不満そうに泰司を睨む。
「問題は何も解決されてないっ! とりあえず、締め切りだっ!」
泰司が再びうおぉっと叫びながら書類に向かう。
ちっと舌を鳴らし、享一は諦めて風呂場へ向かった。
何でコイツと一緒に住みたいんだ?
これからも、ぜったい世話掛けられるぞ。
何でだ?
何でって、何でも、だ。
理由なんて、唯一つ。
好きだから。しょうがない。
熱いシャワーを浴びながら、享一はふと笑った。
後でコーヒーでも煎れてやりますか。今度は眠りこけないように。
おしまい
「……え?」
泰司が虚ろな目をしたまま、何で? と言いたげに享一を見る。
「お前、たいして運転上手くないし、それにあの車、結局ここへ来るくらいしか使ってないだろ?」
泰司の目がみるみるうちに大きく見開かれて、怒りの表情に変わってゆく。
「ここへ来るくらい、ってそれが一番大事じゃねーかっ! 俺んちからアクセスの悪いとこに住んでるお前が悪いんだろっ! それとも、俺にここに来るなってことかっ! そうな……!」
享一が怒鳴り散らす泰司の唇を自らの唇で塞いだ。泰司はしばらくもがもがと暴れ、けれども頑丈な享一の腕に動きを封じ込められて、やがて、体の力を抜いた。
「一緒に住めば、俺の車一台で充分だろ?」
やっと大人しくなった泰司の耳元で享一が囁いた。
「……それを早く言え」
泰司は小さく息を吐き、目を閉じて享一を抱き返した。それを受けて享一が泰司の耳にキスをする。
「こらっ! だめだっ!」
泰司が享一を突き飛ばした。
「……何で」
享一が不満そうに泰司を睨む。
「問題は何も解決されてないっ! とりあえず、締め切りだっ!」
泰司が再びうおぉっと叫びながら書類に向かう。
ちっと舌を鳴らし、享一は諦めて風呂場へ向かった。
何でコイツと一緒に住みたいんだ?
これからも、ぜったい世話掛けられるぞ。
何でだ?
何でって、何でも、だ。
理由なんて、唯一つ。
好きだから。しょうがない。
熱いシャワーを浴びながら、享一はふと笑った。
後でコーヒーでも煎れてやりますか。今度は眠りこけないように。
おしまい
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