「おーい啓輔ぇ、コッチコッチ~」
電話で「一緒にスイカ食お~」と呼び出されて玄関前に立った啓輔の気配をいち早く察知して良充が呼び寄せる。 啓輔が声のする庭の方を覗き込むとランニングに短パンという典型的な格好の良充が縁側に座って元気に手を振っていた。
電話で「一緒にスイカ食お~」と呼び出されて玄関前に立った啓輔の気配をいち早く察知して良充が呼び寄せる。 啓輔が声のする庭の方を覗き込むとランニングに短パンという典型的な格好の良充が縁側に座って元気に手を振っていた。
「お~、縁側でスイカか~。夏の風物詩やな」
楽しげに声をかけながらそのまま知った庭へと足を運ぶ。啓輔が縁側に腰を下ろすと良充は「おかん~、啓輔来た~」とノンキな声で台所にスイカを取りに行った。その背中を啓輔は目を細めて眺める。
スイカはお呼びがかかったのも納得のドデカサイズ。皿では間に合わなくてお盆に乗って運ばれてきた。
よしゃ食おか、で二人同時にスイカに齧り付いた。シャク、と良い音と同時に良く冷えたスイカの甘みが二人の全身に広がる。
「啓輔啓輔、必殺高速スイカ食い~」
くだらないタイトルコールの後、シャクシャクシャクシャクシャクシャクシャクシャク……と良充が高速でスイカを囓った。アホや、と啓輔が笑う。口内に収まらなかった赤い果汁が良充の口端から滴って、うまく地面に落とせなかった分が喉元を薄赤く染める。
「あ~あ、おっ前……びしょびしょやんけ」
見兼ねた啓輔がお盆に乗っていたおしぼりを手に良充の胸元から口までをワシワシと拭き上げた。
良充はくすぐったいような気持ちになった。と同時にほっとしたような安心感に包まれる。
良充は満足した様に笑った。
「種食べてもたらおへそからスイカの芽ぇ出てくるから気ぃつけてな」
良充が再びくだらない忠告をする。
「今だにそんなん信じてるやついーひんっちゅうの」
と啓輔が良充を小突く。
そんな二人を冷やかすようにアツイアツイ、と蝉の声が辺りに響いていた。
おしまい
楽しげに声をかけながらそのまま知った庭へと足を運ぶ。啓輔が縁側に腰を下ろすと良充は「おかん~、啓輔来た~」とノンキな声で台所にスイカを取りに行った。その背中を啓輔は目を細めて眺める。
スイカはお呼びがかかったのも納得のドデカサイズ。皿では間に合わなくてお盆に乗って運ばれてきた。
よしゃ食おか、で二人同時にスイカに齧り付いた。シャク、と良い音と同時に良く冷えたスイカの甘みが二人の全身に広がる。
「啓輔啓輔、必殺高速スイカ食い~」
くだらないタイトルコールの後、シャクシャクシャクシャクシャクシャクシャクシャク……と良充が高速でスイカを囓った。アホや、と啓輔が笑う。口内に収まらなかった赤い果汁が良充の口端から滴って、うまく地面に落とせなかった分が喉元を薄赤く染める。
「あ~あ、おっ前……びしょびしょやんけ」
見兼ねた啓輔がお盆に乗っていたおしぼりを手に良充の胸元から口までをワシワシと拭き上げた。
良充はくすぐったいような気持ちになった。と同時にほっとしたような安心感に包まれる。
良充は満足した様に笑った。
「種食べてもたらおへそからスイカの芽ぇ出てくるから気ぃつけてな」
良充が再びくだらない忠告をする。
「今だにそんなん信じてるやついーひんっちゅうの」
と啓輔が良充を小突く。
そんな二人を冷やかすようにアツイアツイ、と蝉の声が辺りに響いていた。
おしまい
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