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10.触れたところから伝わる君の体温

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「あー全然分かんね。智裕、ノート見せろよ」
「分かんないならヒントは教えてやるって約束だろ」

 智裕はスゲなく答え、そっと伸ばされた皓市の手をぺし、と叩いた。

 智裕の部屋。ふたりで机を挟んで夏休みの宿題をしている。

 クーラーの効いた部屋。触れた智裕の指先は冷たい。

「んー……」

 叩かれた手を開いたり握ったりを繰り返し、皓市はしばらくぼんやりそれを眺めた。けれどもにやりと笑うと同時、皓市は再び智裕に手を伸ばした。

「じゃあさ、ノートはいいから」
「……なんだよ」

 逃げようとする智裕の手を、そうと分かっていたようにぎゅっと握り、それを阻んだ。

「――来週には見せろよ」
「何を」
「俺だけに見せるお前の顔」

 言われた智裕の表情に、ほんのりと朱が差す。

「なんだよ来週って」
「分かんだろ?」

 少し眉を上げ、流すように智裕を見た。

 言わなくても智裕は分かっているはずだ。

 来週は、皓市の誕生日。

「……、……分かってるよ」

 素っ気無いまま答える、消え入りそうな声。それが、全てを物語っている。

 智裕は、分かってる。

「約束な」

 ぐい、と握った手を引っ張り、不意を突くように智裕の唇を掠め取った。

「ばっ……」

 慌ててその手を振り払う智裕の頬がまた、朱を深くする。

「前約束だよ」

 しれっと笑って、智裕はその手を離した。

 いつもしんと澄んだような智裕の表情。

 それを染めることができるのは皓市だけだと。

 繋いだ手から伝わる智裕の体温がそっと、皓市に教えてくれた。



おしまい


皓市×智裕
『君と濡れたい10のお題』


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夏休みすね(*´∀`)
久々の高校生ふたり。書いてみますた(*´∀`)



コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!です!
>秘密拍手コメSさん(*´∀`)

コメありがとうございます~っ!
この二人はもう長く書いてなかったので
誰?みたいな反応しかいただけないと思ってたんで
嬉しさのあまり不要と言っていただいてますが
レスしてしまいますすいません~っ
さて。約束は…今日の正午に果たされますw
いやいつかこの二人の初ガチュンをガッツリ書きたいなと思いつつ
私の作った人生初(多分)のキャラでもあるんで
もう少し描写はなしで、とも思いますw

これからもぜひお付き合いの程よろしくお願いしますっ!
まりがとんございました~っ(*´∀`)
2009/08/14(金) 09:53 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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