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Sometime Butterfly(41)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「ああ、やっぱ兄弟だったんだ。この歳で個展開いてるっつたらかなり将来有望じゃねぇかよ」
「ん……なのかな」

 そんな有望株なら出版社からも引っ張りだこかも知れない。

 けれども七斗の写真を、自分がデザインして形にしてみたくなった。

 七斗が良いと、言ってくれるなら。

「で、写真集を経費で出してぇって?」
「まぁね。俺一人のためだけの本になるかもだけど」

 七月は首を竦めてみせ、いいだろ? と望木に先刻の貸しの話をチラつかせるような視線を向けた。その様子をじっと見て、望木が口を開いた。

「昨日のあれ」
「――え?」
「もしかして、弟?」

 その刹那、時間が止まる。

 昨日望木に見せてしまった、背中の疵(きず)。

 もがれた羽の痕。

 それを七月の背に刻んだのが実の弟だと。

 七月の口からは言えなかった。

 望木の見透かしたような視線に射抜かれて、僅かに身体を強ばらせると、それを察したらしい望木がふと息を吐き、両眉を上げてその空気を解いた。

「マジで大丈夫なのかよ七月」
「……、……ん」

 望木の心配は有り難かったが、それより、あの記事に巡り合わせてくれたことに感謝したかった。

「俺ひょっとして、お前にあの記事見せねぇ方が良かったのかな……お前にとってじゃなく、俺にとって」

 やっちまったかな、と苦笑して、望木は煙草を咥えた。

「分かんないよ。だから確かめに行こうと思ってんだよ。弟が……七斗が写真に何を託してるのか、……」

 もしそれが自分たちの運命なら。

 望木にあの記事を見せられていなくても、いつかまた出逢うことができるだろう。

 それが運命なのかどうか、行けばきっと確かめられる。

「――見に行ってくるよ」
「あ?」
「写真」
「――ああ」

 望木は小さく頷いて、煙草に火を点けた。



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コメント
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2009/08/13(木) 07:46 | | #[ 編集]
あぁ~~~
 望木さん、自分が当て馬になるかも…て薄々感付いてる…??
 切ない男心ですね。

 でも写真集、出来上がったら、私も見たい~~~!!
2009/08/13(木) 08:12 | URL | 如月久美子 #-[ 編集]
ありがとうございますーっ(AAなしでもめんなたいです)
>秘密コメ↑Hさん~

お久しぶりのコメありがとうございます!
いつも来ていただいてたんすね、もうそれだけでウレシスです(涙
携帯からなのに、
とても読みやすく打ってくださって、
そんでもってたくさん書いてくださり
ほんとありがとうございました!

聡×淳を書いてるときは七月は
「何か理由があって誰にも本気にならない(なれない)人」くらいの設定で書いてたんですが
考えてくうちにこんなんになってしまいまんたw

双子だけじゃなく血縁となるとかなりハードルも高いし
なかなかくっつくのも簡単でないはずなんですが
葛藤とか書くのはやっぱり私の力量的にかなりムズカシスですorz
二人一端離れてヤケのようにやってるあたりで
察して頂ければと…orz
で、一応このあと双子でくっつけるつもりしてますが
読んでくださってる方に
拍子抜けとかがっかりとか
されそうでほんとドキムネガクブルしてますが
書ける限りの力でがんがりたいと思いますんで
これからもお付き合いの程
よろすくおながいいたします!
ありがとうございますた!

*******************************************

>如月さん~

望木もわりと勘が鋭いというか
本能で色々気づくタイプの人間な(設定)んで
気づいてますw
七月には本当に欲しいもの(人)があると
そこまで分かってながら口説いたりもしてるんじゃないかと思ったりしてるす

写真集できるとこまで
書くつもりなかたんで(スイマセンアセアセ)
別の話で出来上がったとこの話とか
書いてもいいなとか思いますた!
ありがとうございます~~!
2009/08/13(木) 12:39 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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