福音、ふたりが幸せであるために（20）（R18)

　下から突き上げられ、揺すぶられる。揺すられたことで口内から零れた慎治の耳朶を、また口に含めた。

「歩、……っ」

　次第に慎治の声から余裕がなくなってゆく。背に乗せていた手のひらを滑らせて、慎治の頬に触れた。

「慎治さん……好き」

　慎治の耳朶を口に含めたまま囁いた。

　慎治が僅かに顔を横に向け、頬に乗った歩の手のひらに舌を這わせる。そんなところに性感帯があったのかと驚くほどに、慎治に舐められた手のひらから快感が生まれる。そこを端に甘い痺れのような官能に、全身が浸食される。

「ぁ、っ、ん、っ」
「歩、イってもいい、か」
「んっ、ぃい、慎治さ、俺も、イくから……」

　一緒に、と声を絞り出すと同時に、慎治に雄を握られる。その手を要らない、と言うように慎治の手首を握り、そこから慎治の手を外した。

　指を絡め合い、強く握る。慎治の動きに応えるように、歩からも腰を揺すった。

「ん、っ……っ」
「ぁ、イく、慎治さ……」

　一瞬、視界が白一色になる。

　すぐ側にあるはずのふたりの息遣いがふと、遠くなる。　

　一際大きく突き上げられ、体内（なか）で慎治がはぜた。同時に歩も、ふたりの腹の間に極まった性を吐き出した。

「は、ぁ、っ、はぁ、ぁ……」

　二人でシンクロするように身体を震わせ、全てを吐ききり、呼吸が整わないままいつものように唇を重ねた。

「ん……」

　互いを労るように肌を撫で合いながら、ゆったりと互いの舌を味わう。

　愛してると、その手で伝え合いながら。

　ふたりの呼吸が整うと、ようやく唇を離し、額を触れ合わせて微笑み合った。

「歩……お前ってやつはほんとに……」
「……？　なに？」

　小さく眉を上げて続く言葉を待っていると、慎治はなんでもねぇよ、と笑った。

　そして、愛してるよ、と言う慎治の優しい声とともに、強く抱き締められた。



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歩×慎治


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