繋がった手から流れて来る貴史の体温に、鼓動が高鳴るのを感じる。
まるで初めての恋のように、これからの行為を思って緊張に身体が強張り、脈打つ心臓の音はどくどくと、煩いほどに鼓膜に響く。
一番弱っていた時に、一番必要な形で生に手を差し伸べてくれたからだろうか。
今日会ったばかりの彼にこんなにも信頼を寄せ、あまつさえ恋心にも似た気持ちを持ち始めている。
まるで初めての恋のように、これからの行為を思って緊張に身体が強張り、脈打つ心臓の音はどくどくと、煩いほどに鼓膜に響く。
一番弱っていた時に、一番必要な形で生に手を差し伸べてくれたからだろうか。
今日会ったばかりの彼にこんなにも信頼を寄せ、あまつさえ恋心にも似た気持ちを持ち始めている。
十代の頃のような感情だと、Tシャツ姿の貴史の、意外に広い背を眩しそうに見つめて、生は少し笑った。
手を引かれたまま風呂場の前を通り過ぎ、生はふと足を止めた。
「どしたの?」
貴史が振り返り、生を見る。その黒い瞳に捉えられてまた、胸がきゅ、と小さく音を立てた。
「シャワー、浴びなくていい、ですか?」
今は、一日の気温差の大きい季節だ。少し動けば汗をかき、少し動かずにいれば寒さを感じる。
加えて今日は、精神的なものによる嫌な汗もかいた。このまま一日の汚れを纏ったまま、彼と抱き合うのは失礼だ、と思った。
「俺は気になんねえけど、生、気になる?」
「今日も一日、色々歩き回ったから……」
初めて来た部屋でシャワーを遣いたいと言うのは図々しい気もするが、一日の汗と埃が気にならないと言えば嘘になる。
どうしようかと少し困ったように貴史を見ると、ふと目元を緩め、貴史が笑った。
「そっか。生、今日も頑張ったんだよな、お疲れ。風呂……入ろっか。俺が洗ってあげる」
「いえそんな、仕事をしてれば誰だって同じですから……」
「同じじゃねぇよ。俺は生が頑張ってんの、知ってる」
「え……?」
洗ってあげるとの申し出に慌てたあまり、正直な気持ちではあるが、謙遜することで逃げを打った。
それに対して返った貴史の言葉の真意を問おうと彼を見ると、貴史はそれには答えず「とりあえずスーツ、脱がねぇとね」と生に笑みを向け、ハンガー取って来るからちょっと待ってて、と生を残して奥の部屋に一旦消えた。
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「そっか。生、今日も頑張ったんだよな、お疲れ。風呂……入ろっか。俺が洗ってあげる」
「いえそんな、仕事をしてれば誰だって同じですから……」
「同じじゃねぇよ。俺は生が頑張ってんの、知ってる」
「え……?」
洗ってあげるとの申し出に慌てたあまり、正直な気持ちではあるが、謙遜することで逃げを打った。
それに対して返った貴史の言葉の真意を問おうと彼を見ると、貴史はそれには答えず「とりあえずスーツ、脱がねぇとね」と生に笑みを向け、ハンガー取って来るからちょっと待ってて、と生を残して奥の部屋に一旦消えた。
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