2ntブログ

誰もがきっと、誰かの。(28)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 がたがた、と音を立てて貴史が一足の革靴を取り出した。その靴を床に置くと、おもむろに片方の靴から靴紐を外し始めた。

「え? あの、靴紐の替えって」

 慌てて貴史に問うと、貴史は少しにやりと笑って生を見上げた。

「ごめん、俺の靴の靴紐」
「そんな、それじゃほんとにご迷惑ですから」

「いんだよ俺、普段滅多に革靴履かねぇし、もし急に履く必要ができても、革靴なら他にもまだあるから」

 制止のため僅かに貴史に伸ばした手をものともせず、自分の靴から紐を外した貴史は、今度は生の靴から切れた紐を外し、代わりに今外したばかりの彼の靴紐を、生の靴に通し始めた。

「もし気になるなら新しいの買って、あとで付け直してね。嘘言ったり騙したりするつもりじゃなかったんだよ。ただ……」

 できた、と立ち上がり、貴史が生の前に立った。

 生より、少し高い貴史の目の位置。

 見つめ合う。

 生を見つめる貴史の視線に熱を感じて、心臓が跳ねた。

「この機会を逃したくなかったから」
「……、……」
「貴史、だよ」

 名前を呼ぼうと思ったが、どう呼べば良いのか分からずに、小さく唇を開いたまま動きを止めた生の気持ちをまるで読み取っているかのように。貴史はもう一度、自らの名を名乗った。

「貴史、くん」

 少し迷って敬称を付けると、貴史は少し、面映ゆそうに笑った。思わずその表情に胸がきゅ、と締め付けられた。

「生、寒くねぇ?」
「ん……少し」
「早く、暖まろ」
「ん……」

 伸ばされた貴史の手に、生の手がそっと握られる。こっち、と優しく手を引かれ、生は足を踏み出した。



←27へ / →29へ
←1から読む


ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
↑ランキング参加中す。よければクリック入魂一押ししてください。
 書く意欲に繋がってます(*´∀`)
携帯からはポイント反映されないことがあるようです(090907現在)
ぜひパソからの一押しお待ちしてます(*´∀`)



24日(土)~25日(日)東京遠征です(*´∀`)
家を空けますのでレス遅くなると思います。
J庭、覗いてきます!+(0゚・∀・) + ワクテカ +



コメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/10/24(土) 20:55 | | #[ 編集]
靴紐の買い置きありませんですた\(^o^)/
>秘密コメ↑Kさん(*´∀`)

こばわ~(*´∀`) 東京遠征につきレス多くなり申し訳ありませんですm(_ _)m

望木、普段仕事も自由服で
スーツも冠婚葬祭を含めて4着くらいしか持ってないですw(設定w)
生をおうちにおびき寄せるのに必死でし\(^o^)/

二人であっためあって熱くなって
まずはドコもカシコもゲンキビンビンになれば(・∀・)イイ!!
と思ってるす(*´∀`)

あ、年齢すよねどこにも描写してなかったんすけど
望木は同い年かな?くらいにしか思ってないすけど
生は年下かな、と思ってますw
あとで訂正か描写の加筆しようと思います

あっちゅう間に30話になってしまってましたw
まだまだ続く予定なのでこれからもお付き合いよろすくおながいします!
コメあざした~(*´∀`)
2009/10/25(日) 22:37 | URL | ベラ #-[ 編集]
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 

 | Copyright © がっつりBL的。 All rights reserved. | 

 / Template by 無料ブログ テンプレート カスタマイズ