誰もがきっと、誰かの。（40）（R15）

「生、うつ伏せ、なれる？」
「ん……」

　そっと促されてうつ伏せになり、シーツに顔を埋めた。腰を持ち上げられ、尻を突き出すような体勢を取らされると、初対面の男に恥ずかしげもなく背後を曝す自分への羞恥より、欲望がもっと、と貴史に訴えるようにその腰を揺らした。

　もう充分に濡らされた肌に、手のひらが滑る。曝した窄みの上を、貴史の指先が通り過ぎると、びくりと背が撓んだ。

「ぁ……」
「指、挿れるよ」
「ん……、っ、んっ」

　頷くとすぐ、窄みの上に貴史の指先を感じた。入り口の襞を伸ばすように、指の腹が押すようにそこを撫でる。早く、とあと少しで口にしてしまうところで、ぐ、と指が入り込んできた。

「ぁ……、っ」

　ぬめりと共にするりと挿し入れられた指を、生の背後は難なく飲み込み、熱を持った襞はその指を締め付けるように包み込んだ。

「生の中……スゲェ熱い」

　貴史はその熱さと、襞の一本一本を確かめるように、埋め込んだ指をゆっくりと抜き挿ししながらぐるりと回した。

「ぁ、っ、っは、……っ」

　気の遠くなる程に何度も、丹念に中を解すように出入りする指。一本のその指で、もう既に生が今まで経験してきた快感の全てを引き出されてしまった気がする。

　身体と一緒に、屹立した生の雄も震える。先端から溢れた蜜が、糸を引くように零れ、シーツに染みを作った。

　生を昂ぶらせるのは、貴史の指だけじゃない。

　襞を和らげ、時折前立腺を掠める指からの刺激に加え、背骨を上から順に、一つ一つにキスが落とされ、小さな音と共に吸い上げられるたび、過敏な程に生の身体はびくりと波打った。


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