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雨がやんだら(4)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 玄関のドアを開けると、青年を促して中へ入れ、ドアを閉めた。

「ちょっと待ってろ、タオル取ってくる」

 男同士で相合い傘も妙かと思い、結局青年を雨の中歩かせる事になってしまった。それでも黙って付いてきた彼は、玄関に少し立っているだけで足元に小さな水溜まりを作っていた。

「すぐ風呂に入れよ」

 タオルを手渡し、慣れた手つきで青年からジャケットを脱がせてタオルと一緒に持ってきたハンガーに掛けた。

 彼が身体を拭いている間に風呂場へ行き、シャワーから湯を出して適温にする。戻って彼を部屋に上げ、シャワーを浴びるよう促す。彼を風呂場に押し込むように入れると、自分の未使用の下着にとりあえず今晩泊めるためのスウェットを出し、それからコーヒーメーカーに豆と水をセットした。

「何やってんだ俺……」

 ごぽごぽ音を立てて水が湯に変わって行く様子を眺めてふと呟いた。

 生来の世話好きには自覚がある。危なっかしいのを見ると放っておけない。できる限りの愛情でもって、彼らが求め必要としている物を与えてやりたいと、思ってしまう。

「……まぁ相手に有無を言わせず世話焼いちまうワケなんだけれども」

 因果な性分だよなぁ、と独語して、苦笑する。

 やたら長くシャワーの音が聞こえてくる気がする。慎治も着替えを済ませ、その間に入ったコーヒーを二つのマグに注いだ。

 ――まだ、泣き足りねーのか……?

 いつまでも止まないシャワーの音に心配になってきたその時、シャワーの音が止まり風呂場から彼が顔だけを覗かせた。

「着替え、そこ置いてるから」

 目線でその位置を伝えると、彼は慎治が用意した着替えを全部着て、黙って慎治の側に立った。コーヒーの入ったマグを手渡し、部屋にある二人懸けのソファへ座るよう促して、慎治は床に片膝を立てて腰を下ろした。

 少し、目元が赤い。それでも少しは落ち着いたようだ。

「名前……」
「え?」
「名前ぐらい聞いとかねぇと。今日、寝てくだろ? ……俺慎治ね、巽慎治」
「……アユム。歩くの歩」

 相変わらず不貞腐れた態度で答えるその様子が、ただもう切なく慎治の胸を抉る。


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コメント
にゃ~
『寝てくだろ?』
誘ってんのか?なぁ、誘ってんのか?そうなんだろ?
『オレの隣で』という言葉を飲み込んだに違いない。

という妄想です(´∀`)

有無をいわせず、という言葉に心が震えます。
わたしの心も切なく抉るわけで…先!先をぅぉ!

村のプロフ、衝撃過ぎて腹が捩れる!
アレってなんですか?
どこからあれほどストレートに私の琴線を擽る代物を…
見た瞬間、コーラ鼻から出るかと思った…
2007/11/09(金) 01:06 | URL | ハナ #ZJmJft5I[ 編集]
>ハナさん
( ノ゚Д゚)おはよう
あわよくば、を常に狙う男
それが慎治クオリティ(?)
社外恋愛の要タンも
慎治に有無を言わせず面倒みられてしまったクチ
…という妄想wwww
続きは…そろそろ小出しにしないと
間に合わなくなりそうに
なってきたヤバスwwwww

プロフ写真は男前豆腐店のおぼろドーフ「マブ」(←またこの商品名が)
のフタですねん。
http://otokomae.jp/index.html

炭酸鼻に通ったら染みる尿~wwwww
2007/11/09(金) 06:33 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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